P47 東京国立博物館蔵
(読み)
ワキ哥 興 ニ入 ておもしろしさて大 坂 より西 ノ
わぎうたきょうにいりておもしろしさておおさかよりにしの
方 酒 を出春尓肴 さし身硯 婦多ニて吸 物
ほうさけをだすにさかなさしみすずりぶたにてすいもの
ハ酒 数(ス)古ん呑 多る上 尓出春なり此 日も寒
はさけ す こんのみたるうえにだすなりこのひもさむ
き日ニて一 向 尓あ川き物 を出さづ漸 く仕
きひにていっこうにあつきものをださずようやくし
舞 比 尓吸 物 を出し个連夫 より横 路 へ
まいころにすいものをだしけれそれよりよこみちへ
入 ル行ク事 二里あり足 守 尓至 黒 宮 を
はいるゆくことにりありあしもりにいたるくろみやを
吊(トムロウ)酒 飯 出春夜 尓入 能ク寝る
とむろう さけめしだすよるにいりよくねる
廿 九日 天 氣寒 し旅 宿 を町 の備前 屋と云
にじゅうくにちてんきさむしたびやどをまちのびぜんやという
尓移 春小坐しきコタツあり
にうつすこざしきこたつあり
卅 日 天 氣よし御殿 へ出ルお逢ヒあり前 日
さんじゅうにちてんきよしごでんへでるおあいありぜんじつ
(大意)
略
(補足)
「数(ス)古ん」、『こん【献】(接尾)助数詞。
① 杯をさす度数を数えるのに用いる。「一―献(けん)ずる」
② 吸い物・肴・銚子をととのえて膳をすすめる度数を数えるのに用いる。「一―にうちあはび,二―にえび,三―にかいもちひにてやみぬ」〈徒然草216〉』。なんのことかとおもいました。数献(すうこん)の意でした。
「吊(トムロウ)」、吊(つ)る、がどうして訪れるの意味で使われるのか、江漢さんはこの日記でずっとこの漢字を使っています。
「卅日」、天明9年1月30日。1789年2月24日。
足守藩は緒方洪庵生誕の地です。文化7年7月14日〈1810年8月13日〉〜文久3年6月10日〈1863年7月25日〉)。江戸時代後期の武士(足守藩士)。残念ながら江漢さんが訪れたときはまだ生まれていませんでした。もし会えていれば、うまがあって話が盛り上がったことでありましょう。

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