2025年11月10日月曜日

江漢西遊日記六 その38

P48 東京国立博物館蔵

(読み)

御猟  あり鹿 三 疋 其 肉 を下 さる

ごりょうありしかさんびきそのにくをくださる


二月 朔  日昼 より雨 此 所  ニてハ一ト夜正

にがつついたちひるよりあめこのところにてはひとよしょう


月 とて昨 日 餅 を搗き今朝雑 煮ヲ喰

がつとてさくじつもちをつきけさぞうにをくう


町  家袴  上 下 ニて禮 尓出ル武家ニなし

ちょうかはかまかみしもにてれいにでるぶけになし


昨 日 能鹿 肉 を料  理人 尓申  付 候得ハ  殊(コト)

さくじつのしかにくをりょうりにんにもうしつけそうらえば  こと


能外 困 りける爰 ハ吉備津の宮 能氏 子ニて

のほかこまりけるここはきびつのみやのうじこにて


毛者 をきろふ夜 ニ入 雨 益 々 ふる

けものをきらうよるにいりあめますますふる


二 日雨 ヤマス画ヲ認  メル町  家ヘハ家中  能者 コ

ふつかあめやまずえをしたためるちょうかへはかちゅうのものこ


ズ夫 故 徒 然 ニて暮 春

ずそれゆえつれずれにてくらす


三 日天 氣となる暖 色  を催  春柏井(カシイ)と云 処

みっかてんきとなるだんしょくをもよおす   かしい というところ

(大意)

(補足)

「二月朔日」、寛政1年2月1日 1789年2月25日。天明9年は1月25日までで、翌日1月26日は寛政1年になってました。

「一ト夜正月」、『「一夜正月(いちやしょうがつ)」または「重ね正月(かさねしょうがつ)」は、2月1日を指す言葉で、特に厄年の人が、その年の厄を早くやり過ごすために、仮に一つ歳を重ねるという意味で祝う習慣です。本来の正月である1月1日に対して、2月1日を2度目の元日と見なすことで、年齢を一つ多く数え、厄年を乗り越えようとする風習で、地域によっては「歳重ね(としがさね)」とも呼ばれます』とAIの概要にありました。

「候得ハ」、頻出です。三文字セットでおぼえます。

「毛者」、もちろん獣です。

「吉備津の宮」、吉備津彦神社正面山が左端にあります。

 江漢さんは新しもの好きですから、鹿肉だろうがなんだろうがモリモリ食べたはず。獣肉は食べないと言われてますけど、食べる人がまたは常食する人が少なかっただけで、食べていたにきまっています。

 

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