2025年10月12日日曜日

江漢西遊日記六 その9

P12 東京国立博物館蔵

(読み)

百  疋之(コレ)を贈 ル新 四郎 より千 疋 僕 尓銀(キン)

ひゃっぴき これ をおくるしんしろうよりせんびきぼくに  ぎん


子古れをおくる。冬 小  寒 より春 の土用 まで

すこれをおくる ふゆしょうかんよりはるのどようまで


鯨  を取ル備 へあり人 夫二千 人 を育(ヤシノ)フ此ノ

くじらをとるそなえありにんぷにせんにんを  やしの うこの


嶋 能一 人也

しまのひとりなり


六 日天 氣さて平 戸ハ都  能景色 ニして門 松

むいかてんきさてひらどはみやこのけしきにしてかどまつ


軒(ノキ)を並 へ上 下 着(キ)多る禮(レイ)者 行 ちがふ足 軽

  のき をならべかみしも  き たる  れい しゃゆきちがうあしがる


安 兵衛方 へ行ク倅  猶(ナヲ)ハ 皆 々 出て雑 煮酒

やすべえかたへゆくせがれ  なお はちみなみなでてぞうにさけ


吸 物 を出春夫 より川 﨑 やへ帰 ると爰 尓神

すいものをだすそれよりかわさきやへかえるとここにかん


主 大 蔵 と云 人 参  明日上(カミ)社 参 あり其 節(セツ)

ぬしおおくらというひとまいりあす  かみ しゃさんありその  せつ


お逢(ア)ヒなされ申  とて懐 中  より目 録 千 疋 取

お  あ いなされもうすとてかいちゅうよりもくろくせんびきとり

(大意)

(補足)

「六日」、天明9年1月6日。1789年1月31日。

「目録」、『もくろく【目録】⑤ 贈り物としての金。「いはぬ色なる山吹の花を包みし―も,明けては見ねど五十両」〈歌舞伎・天衣紛上野初花〉』。文書などの意味ばかりと思ってましたが、お金そのものを指す言葉でもありました。

 江漢御一行はゆく先々で歓待されてます。狭い嶋の中のことですから、かれらのことはすっかり知られていて、先ぶれもでているはずで、今回も足軽安兵衛宅でおもてなしされ、宿泊先川崎やでは神主大臓が待ち受けていました。


 

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