P5 東京国立博物館蔵
(読み)
能段 なり我 等と又 右衛門家内 娘 床(セ ウ)ぎを二
のだんなりわれらとまたえもんかないむすめ しょう ぎをに
キヤク程 ならへ先 さしき能か多ちなり見 物
きゃくほどならべまずざしきのかたちなりけんぶつ
春あとハ皆 土間ニて田夫漁 夫老 若 男 女
すあとはみなどまにてたふりょうふろうにゃくなんにょ
数 百 人 おし合 へし合 大 さ王きなり中(ナカ)尓七 十
すうひゃくにんおしあいへしあいおおさわぎなり なか にしちじゅう
位 能老 婆能見 物 せんとて押(ヲサ)レて難渋(ナンシ ウ)春
くらいのろうばのけんぶつせんとて おさ れて なんじゅう す
るを見て感 し个る此 小嶋 尓産 れ一ツ生涯(セ ウカイ)
るをみてかんじけるこのこじまにうまれいっ しょうがい
都會 能地を知ら春゛誠 尓悲(カナシ)き事 なりと
とかいのちをしらず まことに かなし きことなりと
思 ヘハ涙 可浮 ミ个る十 六 七 能女 保う尓紅 ヲ付 ル
おもへばなみだがうかみけるじゅうろくしちのおんなほうにべにをつける
三 日天 氣鯨 取ると云 事 又 三崎 へ行ク帰 り
みっかてんきくじらとるということまたみさきへゆくかえり
又 左衛門 と同 舟 春此(コ〃ノ)列(レイ)とて雑 煮能向 フ
またざえもんとどうしゅうす ここの れい とてぞうにのむこう
(大意)
略
(補足)
「三日」、天明9年1月3日。1789年1月28日。
「列(レイ)とて」、例とて。
昨日のブログのP3P4の画のとおり、何百人のにぎわい、お正月の楽しみなのでしょう。お年寄りにとてもやさしい目をもつ江漢さん、やはりそんな混雑の中に一人の「七十位能老婆」をみつけ、涙します。
しかしながら、おばあさんはおばさんでちっともそんなことをおもってなく、その土地で生まれ死んでゆくという、ましてや鯨漁でうるおっている土地、楽しく暮らしてきているのではないでしょうか。
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