P16 東京国立博物館蔵
(読み)
家 ハ一 尺 程 も横 尓まがり裏 口 尓戸なし
いえはいっしゃくほどもよこにまがりうらぐちにとなし
夜半 比 迄 主 人 不帰 夫 故 尓股 引 のまゝニて
やはんころまでしゅじんかえらずそれゆえにももひきのままにて
横 尓なり个連ハ何 ヤラキタナキ蒲(フ)とんを可け
よこになりければなにやらきたなき ふ とんをかけ
希り一 向 不眠 して居ルうち破(ヤフレ)者かまを者き
けりいっこうねむれずしておるうち やぶれ ばかまをはき
たもと尓ゴロ\/と鈴(スゞ)の音 をして高(タカ)間(マ)可原 なり
たもとにごろごろと すず のおとをして たか ま がはらなり
正 月 故 尓五里も六 里も遠方(ヱンホウ)を竃(カマ)じめ尓
しょうがつゆえにごりもろくりも えんぽう を かま じめに
歩(アル)くなりとぞ
ある くなりとぞ
九 日曇 ル大 風 寒 しさて主 人 ハ夜 比 未 タ明
ここのかくもるおおかぜさむしさてしゅじんはよるころいまだあけ
ぬ尓出で行キ个里程 なく我 ホも起(ヲ)き正 月
ぬにいでゆきけりほどなくわれらも お きしょうがつ
能事 なれハ埒(ラチ)もなき雑 煮を出し个里雨 も
のことなれば らち もなきぞうにをだしけりあめも
(大意)
略
(補足)
「破(ヤフレ)者かま」、たっつけばかま【裁着袴】のことか?『男子袴の一。膝から下を細く仕立てたもの。活動に便利なため,江戸中期から武士が旅行・調練などに用い,また奉公人・行商人が用いた。現在は相撲の呼び出しなどが用いている。伊賀袴』
「高(タカ)間(マ)可原」、高天原(たかまがはら)、神主のことか?
「竃(カマ)じめ」、『年末に行われる日本の伝統行事で、竃(かまど)の神様に感謝し、新しい年を迎えるために竃に注連縄を張って締めくくることです。これには、台所や火を司る三宝荒神(さんぽうこうじん)などの神様をお祀りし、新年の災厄除けを祈願する意味があります』とありましたが、正月にも行うのかもしれません。竃あけですね。
「九日」、天明9年1月9日。1789年2月3日。
「家ハ一尺程も横尓まがり裏口尓戸なし」の貧しい家の正月の精一杯の雑煮を「埒(ラチ)もなき」とは、罰当たり江漢!
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