P15 東京国立博物館蔵
P18
(読み)
泊 ル尓未 タ七 時 過 なり雨 いよ\/降 甚 タさ武し
とまるにいまだななつどきすぎなりあめいよいよふりはなはださむし
さて大 いな可ニてこの社 人 の家 尓老 婆二 人
さておおいなかにてこのしゃじんのいえにろうばふたり
若 ヒ女 一 人居。多宮 ハ畄主なり夫 故 手紙
わかいおんなひとりおりたみやはるすなりそれゆえてがみ
ハよめ春゛一 向 ぶあゐさ川なり大 蔵 の手紙
はよめず いっこうぶあいさつなりおおくらのてがみ
ニハ此 人 ハ殿 様 のお客 なりと申 遣 スと有(アリ)
にはこのひとはとのさまのおきゃくなりともうしつかわすと あり
希れど手 紙を讀む人 なし夫 故 王らじ
けれどてがみをよむひとなしそれゆえわらじ
をぬき多るまゝ尓てあがり莚(ムシロ)じき能上 尓
をぬぎたるままにてあがり むしろ じきのうえに
坐し个里イロり尓生 松 を燃(モシ)いぶし。
ざしけりいろりになままつを もし いぶし
タバコ能ヤニだらけ扨 々 キタナけれど寒
たばこのやにだらけさてさてきたなけれどさむ
き故 イロリ尓当 里个る。そこらを見れバ
きゆえいろりにあたりける そこらをみれば
P18
正 月 九 日武野多宮 宅 調(ツキノ)川(カワ)と云 処
しょうがつここのかむのたみやたく つきの かわ というところ
此 家 ニ泊
このいえにとまる
なんき春る朝 出 立
なんぎするあさしゅったつ
せんとて
せんとて
雑 煮を
ぞうにを
出ス盃 を
だすさかずきを
出ス
だす
(大意)
略
(補足)
「七時過」、午後4時過ぎ。
「多宮」、宮のくずし字は何度か出てきていますが、最初は読めませんが形が特徴的なので、忘れないくずし字の一つになります。
「畄主」、留守。
P18が多宮の家の画。莚(むしろ)は囲炉裏のまわりだけに敷かれていると想像したのですが、部屋いっぱいにありました。奥には大きな水瓶が見えています。
「九日」、天明9年1月9日。1789年2月3日。
正月なので、雑煮を出し、盃までも出しています。貧しいながらも精一杯のおもてなしです。
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