P75 東京国立博物館蔵
(読み)
尓此 嶋 舩 を乗(ノリ)出(イタ)春砂濱(スナハマ)両 三 ケ所 能ミ尓
にこのしまふねを のり いだ す すなはま りょうさんかしょのみに
して皆 岸 大 盤(ハン)石 なり其 大 石 尓登 り
してみなきしおお ばん じゃくなりそのおおいしにのぼり
越ヘ\/ して行ク事 一 里大 なんきして漸 く
こへのぼりこえしてゆくこといちりだいなんぎしてようやく
三崎 へ行 津く鯨 ハ座頭(ザトウ)と云 魚 なり四丈
みさきへゆきつくくじらは ざとう といううおなりしじょう
程 あり潮 の内 ニて切 解(トク)全 身 見へ春゛此 間
ほどありしおのうちにてきり とく ぜんしんみえず このあいだ
又 之助 可゛云 通 り時節 あし个連ハ全 身 を
またのすけが いうとおりじせつあしければぜんしんを
見多る者 鮮(スクナ)し誠 尓極 月 より正 月 松
みたるもの すくな しまことにごくげつよりしょうがつまつ
能内 此 間 盛(サカリ)尓漁 春る能時 なり故 尓平
のうちこのあいだ さかり にりょうするのときなりゆえにひら
戸の者 一 人も鯨 能象(カタチ)を知ら春゛尤 能
どのものひとりもくじらの かたち をしらず もっともの
事 なり此 日餅 津き
ことなりこのひもちつき
(大意)
略
(補足)
「座頭(ザトウ)と云魚」、右上の鯨。魚ではありません。
「四丈程」、『① 尺貫法の長さの単位。一〇尺。1891年(明治24)100メートルを三三丈と定めた』ので、約13.2m。
「極月」、『ごくげつ【極月】〔年の極(きわ)まる月の意から〕12月の異名。しわす。ごくづき』
「此日」、天明8年12月27日。1789年1月22日。
三崎へゆくのに、海岸の岩場を一厘(約4km)も歩くわけで「大なんき」に違いありませんけど、気分沈んでいる江漢さん元気です。
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