2025年10月2日木曜日

江漢西遊日記五 その68

P75 東京国立博物館蔵

(読み)

尓此 嶋 舩 を乗(ノリ)出(イタ)春砂濱(スナハマ)両  三 ケ所 能ミ尓

にこのしまふねを  のり   いだ す   すなはま りょうさんかしょのみに


して皆 岸 大 盤(ハン)石  なり其 大 石 尓登 り

してみなきしおお  ばん じゃくなりそのおおいしにのぼり


越ヘ\/   して行ク事 一 里大 なんきして漸  く

こへのぼりこえしてゆくこといちりだいなんぎしてようやく


三崎 へ行 津く鯨  ハ座頭(ザトウ)と云 魚 なり四丈

みさきへゆきつくくじらは   ざとう といううおなりしじょう


程 あり潮 の内 ニて切 解(トク)全 身 見へ春゛此 間

ほどありしおのうちにてきり  とく ぜんしんみえず このあいだ


又 之助 可゛云 通 り時節 あし个連ハ全 身 を

またのすけが いうとおりじせつあしければぜんしんを


見多る者 鮮(スクナ)し誠  尓極 月 より正  月 松

みたるもの  すくな しまことにごくげつよりしょうがつまつ


能内 此 間  盛(サカリ)尓漁  春る能時 なり故 尓平

のうちこのあいだ  さかり にりょうするのときなりゆえにひら


戸の者 一 人も鯨  能象(カタチ)を知ら春゛尤   能

どのものひとりもくじらの  かたち をしらず もっともの


事 なり此 日餅 津き

ことなりこのひもちつき

(大意)

(補足)

「座頭(ザトウ)と云魚」、右上の鯨。魚ではありません。

「四丈程」、『① 尺貫法の長さの単位。一〇尺。1891年(明治24)100メートルを三三丈と定めた』ので、約13.2m。

「極月」、『ごくげつ【極月】〔年の極(きわ)まる月の意から〕12月の異名。しわす。ごくづき』

「此日」、天明8年12月27日。1789年1月22日。

 三崎へゆくのに、海岸の岩場を一厘(約4km)も歩くわけで「大なんき」に違いありませんけど、気分沈んでいる江漢さん元気です。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿