P34 東京国立博物館蔵
(読み)
婦 ハ長 崎 邊 能産(ウマ)れ名ハ国 の江と云 婦 の曰 く
おんなはながさきあたりの うま れなはくにのえというおんなのいわく
婦しきな事 ニて江戸のお方 尓逢ヒしと云フ妾(セ ウ)
ふしぎなことにてえどのおかたにあいしという しょう
何奈以幸為妓(イカンテサイハイタリギ)得即今逢君(エタソツコンアウキミ)二 人の者 能
ふたりのものの
婦 ハ松 風 二 葉と云 名ハ春さましき者 歟
おんなはまつかぜふたばというなはすさまじきものか
廿 七 日 天 氣となる田助 浦 より帰 り安 兵衛可゛
にじゅうしちにちてんきとなるたすけうらよりかえりやすべえが
方 ニ居ル。周 文 吉 来ル之(コレ)ハ君 邊 を務(ツトメル)者 昼
かたにおる しゅうぶんきちくる これ はくんぺんを つとめる ものひる
よ里魚 の店 と云 所 商 人 の方 へ行キ襖 と
よりうおのたなというところしょうにんのかたへゆきふすまと
袋 戸を描(カク)酒 菓子を出して馳走 春る此
ふくろどを かく さけかしをだしてちそうするこの
家 尓蔵(ソウ)春る画アリ鑑(カン)定 を乞フ如 川 周 信
いえに ぞう するえあり かん ていをこうじょせんちかのぶ
暮年得法眼之位階而卒此品
(大意)
略
(補足)
「婦ハ」「婦しきな」、婦(おんな)と変体仮名「婦」(ふ)で漢字を変えています。
「春さましき」、『すさまじ・い❷ ① 物足りずさびしい。荒涼としている。情趣がない。「白馬(あおうま)やなどいへども,心地―・じうて七日も過ぎぬ」〈蜻蛉日記•下〉「―・じきもの,昼ほゆる犬。春の網代」〈枕草子•25〉
② さむざむしい。ひえびえする。季秋「十一月十九日の朝なれば,河原の風さこそ―・じかりけめ」〈平家物語•8〉〔動詞「すさむ」の形容詞形。本来,興ざめがするさまを表す』
「廿七日」、天明8年11月27日。西暦1788年12月24日。
「如川周信」、狩野周信(かのうちかのぶ)。万治3(1660)年〜享保13(1728)年は、日本の江戸時代前期から中期にかけて活躍した絵師。江戸幕府に仕えた御用絵師で、狩野派(江戸狩野)の中で最も格式の高い奥絵師4家の1つ。
「如川周信
暮年得法眼之位階而卒此品罕干世。有古法眼画其筆意如雲 雖然筆勢為妙可愛」、『如川周信
晩年に法眼の位階を得てこの品で没す 世に稀なる。古の法眼の画あり、その筆意は雲の如し
とはいえ筆勢こそ妙にして愛すべきなり』。
相手をした婦の名前に興ざめしてしまったように記してますけど、そんことはなかったとおもいます。楽しくすごしたにきまっています。
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