2025年8月11日月曜日

江漢西遊日記五 その16

P16 東京国立博物館蔵

(読み)

雪 まし里あられ風 吹き又 ハ上  天 氣となる

ゆきまじりあられかぜふきまたはじょうてんきとなる


時 甚  タ暖 氣となる言 語ハ東 方 と甚  タ異  り

ときはなはだだんきとなるげんごはとうほうとはなはだことなり


十  六 日 天 氣小串 と云 処  ニて舟 ニて夜を明(アカ)し

じゅうろくにちてんきおぐしというところにてふねにてよを  あか し


朝 舩 を出して六 里程 走 りて針 尾能瀬戸

あさふねをだしてろくりほどはしりてはりおのせと


なり右 ハ大 村 領  左  ハ平 戸領  なり山 両  方 ヨリ

なりみぎはおおむらりょうひだりはひらどりょうなりやまりょうほうより


入 込ミ其 間  僅  ニして波 なく潮(ウシヲ)雲珠巻

いりこみそのあいだわずかにしてなみなく  うしお うずまき


木 目能如 し或   岩 石 ニ觸れ白 浪 飛んで

もくめのごとしあるいはがんせきにふれしらなみとんで


沸騰(ホツトウ)能如 し引 しをニう川゛へ乗り入ル時 ハ舟 忽

   ほっとう のごとしひきしおにうず へのりいるときはふねたちまち


巻 込 と云 夫 故 潮 能満チ多る時 渡 ル也 此 瀬戸

まきこむというそれゆえしおのみちたるときわたるなりこのせと


能間  を能る事 凡  半 里程 あるべし舩 頭 甚  タ心  を

のあいだをのることおよそはんりほどあるべしせんどうはなはだこころを

(大意)

(補足)

「十六日」、天明8年11月16日。西暦1788年12月13日。

「針尾能瀬戸」、渦潮といえば、鳴門の渦潮しかしりませんでした。大村湾が外海と唯一つながっているところなので、潮の出入りが激しい。

 「西遊旅譚四」に画があります。 

 江漢さん、旅の最初の頃は、船に乗ると緊張感が伝わってきましたが、何度か命がけの乗船で慣れてきたのでしょう、冷静な目で状況を観察できているようであります。

 

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