2025年8月16日土曜日

江漢西遊日記五 その21

P21 東京国立博物館蔵

(読み)

四五百  里能海 上  七 八 日 ニして江戸尓着(ツク)十  二

しごひゃくりのかいじょうしちはちにちにしてえどに  つく じゅうに


月 五嶋 マグロと云 物 なり兼 て舩 尓塩 を貯(タクハ)

がつごとうまぐろというものなりかねてふねにしおを  たくわ


へ舩 滞(トゝコヲ)る時 ハ塩 漬(ツケ)尓春其 價  十  分  一 となる

へふね  とどこお るときはしお  づけ にすそのあたいじゅうぶんのいちとなる


此 地其 後追 \/漁  春る物 ハ皆 油  ニ春鮪(シヒ)

ことちそのごおいおいりょうするものはみなあぶらにす  しび


一 ツ舩 より舩 尓買 尓金 四十  五匁  位  なり故 ニ

ひとつふねよりふねにかうにきんしじゅうごもんめくらいなりゆえに


塩 ニしてハ大 損(ソン)とぞ鮪  一 斤 ニて三 十  二文 なり

しおにしてはおお  ぞん とぞまぐろいっきんにてさんじゅうにもんなり


肉 黒 赤 し毒 アリ伊豆海 ニて漁  春る鮪(マクロ)

にくくろあかしどくありいずうみにてりょうする  まぐろ


とハ亦 別 種 なるベシ唐 蘇州  邊  ニてハ大 キ

とはまたべっしゅなるべしとうそしゅうあたりにてはおおき


サ八 九尺  大 毒 ありて人 不喰 とぞ

さはっくしゃくおおどくありてひとくわずとぞ


十  八 日 今 日も時雨 風 雨なり山 本 庄  右衛門

じゅうはちにちきょうもしぐれふううなりやまもとしょうえもん

(大意)

(補足)

「四五百里能海上七八日ニして江戸尓着(ツク)十二

月五嶋マグロと云物なり」、地図で大まかに平戸〜東京の海上路を測ってみると、約1600km程あり、8日間かかったすれば、1日に約200km。風だけがたよりで8日間ずっと西風に恵まれなければなりません。いつもがいつも、そのようにできたとはとてもおもえません。

 しかし江戸では五島鮪という言葉があるので、届けられていたということは確かなようであります。

「十八日」、天明8年11月18日。西暦1788年12月15日。

「金四十五匁」「鮪一斤ニて三十二文」「大キサ八九尺」と度量衡がいろいろあって大変。

 

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