2025年8月13日水曜日

江漢西遊日記五 その18

P18 東京国立博物館蔵

(読み)

喰  事せ春゛横 に伏し个連ハ何 ヤラうゑ尓

しょくじせず よこにふしければなにやらうえに


かけ个る可゛トロ\/と一 寝(ネイ)里し个る可゛僕 来て云フニハ

かけけるが とろとろとひと  ねい りしけるが ぼくきていうには


今 風 可直 り申  故 ニ舟 を出春と目を覚(サマシ)け

いまかぜがなおりもうすゆえにふねをだすとめを  さまし け


る氣可゛さ川者゜里快(コゝロモ)ち能 夫 より舟 へ行ク尓

るきが さっぱ り  こころも ちよくそれよりふねへゆくに


夜 能八 時 比 なり満 月 浪 を照 シ寒 風 肌(ハタヱ)ヲ

よるのやつどきころなりまんげつなみをてらしかんぷう  はだえ を


とふ春東風吹ヒて舟 走 ル事 者やし牛 ガ

とうすこちふいてふねはしることはやしうしが


首(クヒ)など云 嶋 を見ル重 キ流人 ハ爰 尓来ルと云

  くび などいうしまをみるおもきるにんはここにくるという


夫 ヨリ九十  九嶋 能外 海 を乗り行ク誠  尓

それよりくじゅうくしまのそとうみをのりゆくまことに


西 ハ朝  鮮 唐 能大 洋 なり風 追(ヲイ)てニて忽  チ

にしはちょうせんとうのたいようなりかぜ  おい てにてたちまち


夜明 て四 時 過 ニ平 戸嶋 尓着(チヤク)岸 春

よあけてよつどきすぎにひらどしまに  ちゃく がんす

(大意)

(補足)

「肌(ハタヱ)」、『はだえ ―へ【肌・膚】① 皮膚。はだ。「―は雪の如くにて」〈朱雀日記•潤一郎〉』

「九十九嶋」、平戸島の対岸の細々した島々。北松浦半島西岸(相浦〜小佐々町〜鹿町町)に連なる五島灘に面したリアス式海岸の群島。

「平戸嶋」、ウイキペディアに詳しい。その中で『1609年(慶長14年)にオランダ商館、1613年(同18年)にウィリアム・アダムス(三浦按針)によってイギリス商館が設立された。しかしその後の鎖国政策によって1623年(元和9年)にイギリス商館閉鎖、オランダ商館も1641年(寛永18年)に長崎の出島へ移転して、平戸港における南蛮貿易は終わった』というのが印象的であります。

 満月の下、夜中の2時に肌に刺すような寒風の東風で、追手(追い風)で疾走しても平戸島に着いたのは朝10時過ぎでありました。

 

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