P15 東京国立博物館蔵
(読み)
さて長 﨑 より此 邊(ヘン)能風 土三 十 二三 度
さてながさきよりこの へん のふうどさんじゅうにさんど
能処 ニして尤 モ海 邊故 夏 ハあ川く冬 ハ至
のところにしてもっともうみべゆえなつはあつくふゆはいたっ
て暖 ニして雪 霜 希(マレ)なり家 \/尓タイ\/
てあたたかにしてゆきしも まれ なりいえいえにだいだい
能樹(キ)を植(ウユ)恒 ニ酢ニ用 ユザボンとて九年 母ニ
の き を うゆ つねにすにもちゆざぼんとてくねんぼに
十 倍 能物 辻 \/尓賣ル大 根 太 ク短 シケラ能
じゅうばいのものつじつじにうるだいこんふとくみじかしけらの
尾と云 亦 ほそ大 根 白 赤 能二品 サツマ芋
おというまたほそだいこんしろあかのにしなさつまいも
も同 し蕪 亦 同 し茶 釜 なし土瓶(ヒン)ニて
もおなじかぶまたおなじちゃがまなしど びん にて
茶 を煎(センス)口 取 ボール黒 砂糖(トウ)或 ハ蕪(カブ)を酒
ちゃを せんず くちとりぼーるくろざ とう あるいは かぶ をさけ
醤 油ニ漬(ツケル)婦人 生 涯 眉(マユ)を剃(ソラ)春゛手能指 ニ
しょうゆに つける ふじんしょうがい まゆ を そら ず てのゆびに
金 輪を者める十 月 より此 方 時雨 とて大 雨
かなわをはめるじゅうがつよりこのほうしぐれとておおあめ
(大意)
略
(補足)
「風土」「土瓶」、「土」のくずし字に注意です。
「三十二三度」、この「度」はなんでしょうか?長崎・小串の直線距離は約36kmです。「里」や「町」の間違いではありませんし、経度でもなさそう。さて?
「九年母」、『くねんぼ。ミカン科の常緑低木。インドシナ原産。葉はミカンに似るがやや大きい。果実は球形で秋にオレンジ色に熟す。果皮は厚く,果肉は香りと酸味が強い。香橘(こうきつ)。季秋』
当時の地元の果物や野菜の様子がわかっておもしろい、でもそれほど変わってはなさそうです。
「口取」、『くちとり 【口取り】①酒や茶などに添えて供する食べ物。㋐ 「口取り肴(ざかな)」の略。㋑ 「口取り菓子」の略。』
江戸時代、女の人は結婚すると眉を剃りお歯黒でとよくいわれますが、そうでもないことがわかります。また「手能指ニ金輪を者める」のはきっと南蛮人の風習を取り入れたでしょうか。またはキリシタン信仰からのものでしょうか。
フランス革命の遠因は気象異常とはよくいわれますが、この18世紀後半は地球上いたるところで天候不順だったようで、ここ九州でも南国で雪や霜があったことがわかります。
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