P32 東京国立博物館蔵
(読み)
小豆 嶋 屋と云 揚 屋能様 なる家 あり二 人の者
あずきしまやというあげやのようなるいえありふたりのもの
案 内 して爰 尓至 ル尓先 二階 へ登 り見る尓
あんないしてここにいたるにまずにかいへのぼりみるに
色 \/の物 有 て物 置 能様 なる坐しきなり
いろいろのものありてものおきのようなるざしきなり
此 家 爰 ニ一 軒 なり彼 二 人の者 能春ゝ免ニ
このいえここにいっけんなりかのふたりのもののすすめに
て遊 女 を呼フ尓衣装 ハち里めん模様 なり
てゆうじょをよぶにいしょうはちりめんもようなり
裏紅(モミ)なり帯 ハとん春能様 なる物 尓して一寸(チヨツト)
うら もみ なりおびはどんすのようなるものにして ちょっと
春そを。さぐり見ル尓袷 小袖 を上 へ着(キ)多る
すそを さぐりみるにあわせこそでをうえへ き たる
者 なり髪(カミ)結ヒ様 先ツ大 坂 風 ニて竒妙 也
ものなり かみ ゆいさままずおおさかふうにてきみょうなり
さて其 家 の嫁(ヨメ)とて廿 一 二歳 㒵(カヲ)ハ白 けれ
さてそのいえの よめ とてにじゅういちにさい かお はしろけれ
ど黒子(ホクロ)能いかゐ事 ある女 なり此 国 ニてハホ
ど ほくろ のいかいごとあるおんななりこのくににてはほ
(大意)
略
(補足)
「小豆嶋」、淡路島のとなりに小豆島(しょうどしま)がありますが、ここの読みはなんでしょうか?
「㒵(カヲ)ハ白けれ」、この「㒵(カヲ)」は顔のこと、古文書によく使われています。
「いかゐ事」、『厳いこと。多いこと。多いさま。たいへんなこと。「ひる見たれば,瓜が―見えたが」〈狂言記・瓜盗人〉』。『いか・い 【厳い】(形)《文ク いか・し》〔中世・近世語〕① 荒々しい。勇猛だ。恐ろしい。「かく―・う猛き身に生まれて」〈宇治拾遺物語8〉② 大きい。多い。「聞き及うだより―・い河ぢや」〈狂言記・鈍根草〉
③ (程度が)はなはだしい。大層である。「それはほんに―・いお力落しで」〈滑稽本・浮世床2〉「あつしは此家の先代には―・い世話になつたし」〈くれの廿八日魯庵〉』
ここの遊女の頭の先から裾先までなめるように観察描写しています。好きですねぇ。でもこのような目があるから、生き生きとした人物画が描けるのでしょう。
しかし、この頁から始まって、次の頁まるまる、さらにその次の頁までつづき、なみなみならぬ熱情を傾けています。
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