P9 東京国立博物館蔵
(読み)
壱 人 前 百 文 二 人して四人 前 借ル夜 ハ五時過
いちにんまえひゃくもんふたりしてよにんまえかるよるはごじすぎ
ニ舟 を出春段 々 と下 リ舟 ニて淀 能方 ニ趣 ク
にふねをだすだんだんとくだりふねにてよどのほうにおもむく
月 出 漸 ク照ラして淀 能城 水 車 大 橋 を越
つきいでようやくてらしてよどのしろみずぐるまおおはしをこ
へ山 崎 山 右 尓見ヘ夫 より程 なく牧方(ヒラカタ)ニ至 ル
へやまざきやまみぎにみえそれよりほどなく ひらかた にいたる
此 河 中 物 賣 舟 酒 汁 飯 一 向 ニあじなき
このかわなかものうりふねさけしるめしいっこうにあじなき
物 をうる尓クラワン\/ と云フ此 云ヒ方 爰 能
ものをうるにくらわんくらわんというこのいいかたここの
名 物 なり夫 より守口(モリクチ)など云フ処 を経て
めいぶつなりそれより もりぐち などいうところをへて
程 なく大 阪 八 軒 と云フ処 尓舟 を津ける
ほどなくおおさかはちけんというところにふねをつける
明 て五時比 なり
あけてごじごろなり
十 七 日 天 氣日本 橋 かな物 屋と云 旅 人
じゅうしちにちてんきにほんばしかなものやというたびにん(やど)
(大意)
略
(補足)
「壱人前」、「壱」のくずし字は頻出なのですけど、どうも苦手です。t+z のような感じ。
「段々」、PCのくずし字検索ではありませんでしたが、くずし字辞典にはちゃんとこのくずし字がありました。
「淀能城水車」、このことでしょうか。月明かり(ほぼ満月なのでとても明るい)でよく見えたのでしょう。
「伏見」から「枚方」までの航路。
「物売舟」、こんな舟にのったのでしょう。こんな舟で川下りしてみたいものです。
「守口」、「大阪八軒」は大阪城側の天神橋左側の船着き場。
夜の五時(8時)に舟を出して、明けて五時(8時)の12時間の船旅でした。淀川の下りで、距離はおよそ40km程度、もっと速いのかと思ったら、意外と遅い。
「十七日」、天明8年八月十七日。1788年9月16日。
ようやく、大阪に到着しました。ほぼ四ヶ月かかっています。
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