P15 東京国立博物館蔵
(読み)
坂 風 ニてめ川らし夫 より白 人 来 ル爰 ニてハ
さかふうにてめずらしそれよりはくじんきたるここにては
お山 を白 人 と呼フ江戸深 川 能如 キ処 ニて
おやまをはくじんとよぶえどふかがわのごときところにて
帯 付 常 の女 能風 なり總 て江戸の女 と
おびつけつねのおんなのふうなりすべてえどのおんなと
顔 色 も違 ヒぬ鼻 筋 皆 とをりて長(ナカ)なり
かおいろもちがいぬはなすじみなとおりて なが なり
の顔 多 し此 女 廿 一 二と見ヘ名ハ村 と云フ
のかおおおしこのおんなにじゅういちにとみえなはむらという
服 ハ花 色 里ん春゛で帯 ハシユス能白 キ尓墨
ふくははないろりんず でおびはしゅすのしろきにぼく
画を織里多る者 也 尤 モ衣装 ハ色 \/時 の
がをおりたるものなりもっともいしょうはいろいろときの
流 行 あり妓 子ハ八重(ハブタエ)地をあさぎニ染メ
りゅこうありげいこは はぶたえ ぢをあさぎにそめ
惣 模様 或 ハ津まあかり半 ゑ里能処
そうもようあるいはつまあがりはんえりのところ
まて模様 あり帯 ハ緋ジユス金 糸(シ)ニて
までもようありおびはひじゅすきん し にて
(大意)
略
(補足)
「白人」、『はくじん② 〔「白人(しろうと)」を音読みした語〕
㋐ 近世,上方で,私娼。また,公認の遊里以外の地にいた遊女。しろと。はく。「―芸子の今様めけるは,南北に風情をたたかはす」〈滑稽本・風流志道軒伝〉
㋑ 技芸などに熟達していない人。素人(しろうと)。「京の色里にて手弱き客を―と言へり」〈浮世草子・新吉原常々草〉』
「鼻筋皆とをりて」、やはり「と」と「を」はそっくりです。
「里ん春゛」、『綸子とは、経糸(たていと)、緯糸(よこいと)どちらも よらない糸を使用した織物で、後染め用の生地です。綸子は、織り方によって地紋が浮き出るのが特徴で、縮緬(ちりめん)よりも薄手ですが、光沢があり手触りが柔らかく滑らかです。振袖などの着物以外にも、襦袢や帯揚げなどにも利用されます。また、生地が薄いため、裏地のついた袷(あわせ)仕立てのほか、真夏以外の暑い時期に着用できる、裏地の無い単衣(ひとえ)仕立てにも利用できます』とありました。
「シユス」、『繻子とは、繻子織りの略称で、織り方の基本とされているものです。手触りが滑らかで光沢があるのが特徴で、足袋や帯によく利用されます』とありました。
「八重(ハブタエ)」、羽二重。
「あさぎ」、『あさぎ【浅葱】〔「葱(き)」はネギの古名。薄い葱の葉の色の意。「浅黄」は当て字〕① わずかに緑色を帯びた薄い青。また,青みをおびた薄い緑色。あさぎ色。「―袴(ばかま)」「―帽子(ぼうし)」』
「廿一二と見ヘ名ハ村」という女の衣装を細かく観察し、さらに妓子にも目を輝かして江漢さんなめるように着物の品定めをしています。画を描いてくれればよかったのにとおもいます。
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