2025年1月27日月曜日

江漢西遊日記二 その27

P33 東京国立博物館蔵

(読み)

三 ツ能谷 川 を越ヘ人 足 をかえし夫 ヨリ二 人して

みっつのたにかわをこえにんそくをかえしそれよりふたりして


一 里ある原 ニ至 ル尓雨 ハ頻 リ尓大 婦りとなり

いちりあるはらにいたるにあめはしきりにおおふりとなり


原 ハ小 サキ笹 の生  して芝 の如 くニして細(ホソ)キ

はらはちいさきささのしょうじてしばのごとくにして  ほそ き


路 僅(ワツカ)尓して其 歩 武路(ミチ)瀧 の如 し誠  ニ

みち  わずか にしてそのあゆむ  みち たきのごとしまことに


なんきなり亦 一 ツ能川 あり谷 川 尓ハ非ラサレ

なんぎなりまたひとつのかわありたにかわにはあらざれ


とも水 出ン事 を恐 レいそぎ行 个る尓者多して

どもみずでんことをおそれいそぎゆきけるにはたして


水 まし股 切リ尓て越へ个る夫 より松 原 ヘ出テ

みずましももきりにてこえけるそれよりまつばらへでて


漸  く鈴 木氏能宅 ヘかへ里ぬ飯 酒 を出シ

ようやくすずきしのたくへかえりぬめしさけをだし


个る比 ハ八 時過 ニて雨 頻 リ尓降リヤマヅ日

けるころははちじすぎにてあめしきりにふりやまずひ


永 迄 参 ル路 ニ川 あり水 能出ン事 を恐(ヲソ)れて

えいまでまいるみちにかわありみずのでんことを  おそ れて

(大意)

(補足)

「鈴木氏能宅ヘかへ里ぬ」の画(P36)。

菰野

鈴木久右

衛門宅

「股切リ尓て」、「股(ももだち)立を取る」は「動作を便利にするために,股立をつまみあげて,帯または袴(はかま)の紐(ひも)にはさむこと」で、ここでは濡れないように「はしょ・る〔「はしおる」の転〕① 着物の裾をからげて端を帯などにはさむ。「裾を―・ってかけ出す」というような意味でしょう。

「八時」、昼の二時頃。お八(やつ)どき。

 土地の人たちの助言に従っていればよいものをと、(しつこいですが)苦言を呈したくなります。

 

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