P33 東京国立博物館蔵
(読み)
三 ツ能谷 川 を越ヘ人 足 をかえし夫 ヨリ二 人して
みっつのたにかわをこえにんそくをかえしそれよりふたりして
一 里ある原 ニ至 ル尓雨 ハ頻 リ尓大 婦りとなり
いちりあるはらにいたるにあめはしきりにおおふりとなり
原 ハ小 サキ笹 の生 して芝 の如 くニして細(ホソ)キ
はらはちいさきささのしょうじてしばのごとくにして ほそ き
路 僅(ワツカ)尓して其 歩 武路(ミチ)瀧 の如 し誠 ニ
みち わずか にしてそのあゆむ みち たきのごとしまことに
なんきなり亦 一 ツ能川 あり谷 川 尓ハ非ラサレ
なんぎなりまたひとつのかわありたにかわにはあらざれ
とも水 出ン事 を恐 レいそぎ行 个る尓者多して
どもみずでんことをおそれいそぎゆきけるにはたして
水 まし股 切リ尓て越へ个る夫 より松 原 ヘ出テ
みずましももきりにてこえけるそれよりまつばらへでて
漸 く鈴 木氏能宅 ヘかへ里ぬ飯 酒 を出シ
ようやくすずきしのたくへかえりぬめしさけをだし
个る比 ハ八 時過 ニて雨 頻 リ尓降リヤマヅ日
けるころははちじすぎにてあめしきりにふりやまずひ
永 迄 参 ル路 ニ川 あり水 能出ン事 を恐(ヲソ)れて
えいまでまいるみちにかわありみずのでんことを おそ れて
(大意)
略
(補足)
「鈴木氏能宅ヘかへ里ぬ」の画(P36)。
菰野
鈴木久右
衛門宅
「股切リ尓て」、「股(ももだち)立を取る」は「動作を便利にするために,股立をつまみあげて,帯または袴(はかま)の紐(ひも)にはさむこと」で、ここでは濡れないように「はしょ・る〔「はしおる」の転〕① 着物の裾をからげて端を帯などにはさむ。「裾を―・ってかけ出す」というような意味でしょう。
「八時」、昼の二時頃。お八(やつ)どき。
土地の人たちの助言に従っていればよいものをと、(しつこいですが)苦言を呈したくなります。
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