P3 東京国立博物館蔵
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(読み)
御卦(クワ)保うなる事 かなお江戸ハ能ヒ処 と承 リま
ご か ほうなることかなおえどはよいところとうけたまわりま
春爰 ハまあお聞キなされまし米 とてハ一 粒
すここはあまおききなされましこめとてはひとつぶ
もなしヒヱ麦 尓芋(イモ)能食 尓い多しま春其 上
もなしひえむぎに いも のしょくにいたしますそのうえ
塩可拂(フツ)底(テイ)味噌など得か多く生(ナマ)魚(サカナ)とてハ
しお ふっ てい みそなどえがたく なま さかな とては
見多者 一 人もごさらぬ昼 ハ猿(サル)の者゛んをい多し
みたものひとりもござらぬひるは さる のば んをいたし
夜 ハ猪(シゝ)を追(ヲイ)ま春ご覧 の通 リ畑 の廻(メク)りニ
よるは しし を おい ますごらんのとおりはたけの めぐ りに
かこひをい多しま春猿 ハ其 かこひを飛 越して
かこいをいたしますさるはそのかこいをとびこして
麦 ヤヒヱをあらしま春と話(ハナシ)个る握(ニキリ)飯シ能
むぎやひえをあらしますと はなし ける にぎり めしの
喰ひ残 リを四 ツ五 ツ能小童(コトモ)尓遣 シ个連ハ誠 ニ
くいのこりをよっついつつの こども につかわしければまことに
まんぢ うでももろふ多様 尓よろこび个る也
まんじゅうでももろうたようによろこびけるなり
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サイ川 へ休 ミ多る図
さいかわへやすみたるず
(大意)
略
(補足)
「卦(クワ)保う」、果報。
麦やヒエの畑を、昼は猿を夜は猪を追い払い、寝ずの番をしているとあります。鹿の被害もあったことでしょう。
わたしの住んでいる少し山奥の村では今でも同様で、年寄りたちが育てた農作物を収穫できる時になるときまって猿・猪など獣が食い荒らして台無しにしてしまいます。丹精込めて育てた年寄りたちはがっかりして落ち込みそのままそのまま寝込んでしまう人もいます。そしてそのようなことを繰り返すと楽しみであった農作物の世話をする気力もなくなってしまいます。
猿は鳥獣保護法で守られていて、捕まえることを禁じられていますから、やりたい放題で、住民が気力をなくしそのまま寝たきりになってしまう人たちも少なくないというのに、役所は知っていても何もしません。
山の動物達とは共存共栄が一番ではありますが、でしゃばってくる獣には断固、対処しないと彼らもまずいことであると気づくわけがありません。
捕まえてこらしめて、孫悟空がされたように体のどこかに輪っかをはめて、山奥に放すのがよさそうです。
図は優しいまなざしが感じられます。子どもの表情がちっとも子どもらしくありません。食べているのはもらったばかりの握り飯でしょう。
江漢とボクの弁喜の旅姿が詳しくわかって興味深い。天秤棒でかついで、山道を何十キロも歩いたかとおもうと、たしかまだ16歳だった弁喜のたくましさに頭が下がります。
江漢は左手に箸をもっていますが、右手には竹皮に包んだニギリ飯、左利きだったのでしょうか。
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