P6 東京国立博物館蔵
(読み)
サイ河 ハ天 龍 河 能源(ミナモト)なり川 原ヒヨ\/
さいかわはてんりゅうがわの みなもと なりかわらひよひよ
と廣 く此 河 舟 渡 シ何(イツ)くを見ても渡 し
とひろくこのかわふなわたし いづ くをみてもわたし
舟 見得春゛人 の足 跡 あるを見て行 ハ渡 し
ふねみえず ひとのあしあとあるをみてゆけばわたし
場なりと思 ひし尓人 能足 跡 ニハあら春゛獣
ばなりとおもいしにひとのあしあとにはあらず けもの
の足 跡 なり夫 より大 音 ニて舟 よ\/ と
のあしあとなりそれよりだいおんにてふねよふねよと
呼ヒ个連ハどこかゝら舟 出テ个連ハ其 舟 尓
よびければごこかからふねでてければそのふねに
能里渡 里个る六 月 能炎 暑 なれハ往 来 ノ
のりわたりけるろくがつのえんしょなればおうらいの
人 且 てなき故 なり渡 シ守 一 人二 人を渡 シ
ひとかってなきゆえなりわたしもりひとりふたりをわたし
てハ賃(チン)銭 不取 可故 なりとぞ爰 より石 打チと云フ
ては ちん せんとれざるがゆえなりとぞここよりいしうちという
処 ヘ出 亦 二里を過 て熊(クマ)村 と云フ処 ロ山 の中 段
ところへいでまたにりをすぎて くま むらというところやまのちゅうだん
(大意)
略
(補足)
「ヒヨ\/」、辞書にあるのですけど意味は『① (赤ん坊のひよめきなどが)弱々しく動くさま。ひくひく。② ひな鳥などの鳴き声を表す語。ぴよぴよ』とあって、広くにはつながりません。ヒロビロと広いとしても意味が重なってしまうけど、とても広い河原という意味なら通じそうです。
「此河舟渡シ」、「舟よ\/」、ここの「舟」のくずし字は独特、たびたび出てきています。
「六月能炎暑」にもかかわらず、ニギリ飯を食う場面の江漢さんはやや厚着の旅装束。
「石打」、「熊」の場所はこのあたり。
掛川から森・三倉・一ノ瀬宿と北上し、秋葉山で西へ、戸倉・石打・熊宿まできました。
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