P28 東京国立博物館蔵
(読み)
菜 不生 五穀(コク)尤 モなし宿 の主 人 鉢(ハチ)尓
やさいならずご こく もっともなしやどのしゅじん はち に
朝 顔 を植 シ尓其 砂 へ植 多り朝 顔 之(コレ)を
あさがおをうえしにそのすなへうえたりあさがお これ を
土 と思 ヒし尓や花 咲 个連客館(ヤドヤハ)橘(タチバナ)ヤと
つちとおもいしにやはなさきけれ やどやは たちばな やと
云 家 尓居し尓ある時 青 瀧 を見シとて一 人
いういえにいしにあるときあおだきをみしとてひとり
衣(コロモ)を着(キ)多る出 家を案 内 者 として行 个る尓
ころも を き たるしゅっけをあんないしゃとしてゆきけるに
山 能さん道 を行ク事 ニて下 ハ深 キ谷 一 方 ハ山 也
やまのさんどうをゆくことにてしたはふかきたにいっぽうはやまなり
其ノ路曲(キヨク)\/と巡 リ行ク路 ニて向 フより熊 能
そのみち きょくきょくとめぐりゆくみちにてむこうよりくまの
来 リし尓や熊 も此 行ク者 モ一 向 尓知ら春゛して
きたりしにやくまもこのゆくものもいっこうにしらず して
山 のさん道 能曲(マカリ)可とニて不思 不知 熊 尓出
やまのさんどうの まがり かどにておもわずしらずくまにで
合 け連ハ先 ニ立ツ多る出 家肝(キモ)を津婦して
あいければさきにたつたるしゅっけ きも をつぶして
(大意)
略
(補足)
「尤モ」、『② (打ち消しの語を伴って)少しも。全然。決して。「ふつつり心残らねば―足も踏み込まじ」〈浄瑠璃・心中天網島•上〉』
「朝顔」、「顔」のくずし字が「白」+「ハ」となっていますけど、くずし字でなくても「㒵」という漢字がありました。読み方には、ボウ / バク / かお / かたちなど。相貌の「貌」の旁がこれ。
「山能さん道」、山の桟道。
橘屋という宿屋の主人のはなし、うそかまことか、きっと本当のこととおもいます。まだはなしは続きます。
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