2024年12月1日日曜日

江漢西遊日記一 その18

P21 東京国立博物館蔵

(読み)

其 主 人 雅人 なり其 友 一 両  輩 来ル各 々

そのしゅじんがじんなりそのともいちりょうはいくるおのおの


風 流  あり此 日共 尓浅 現 の山 に登 ル大 松 の

ふうりゅうありこのひともにせんげんのやまにのぼるおおまつの


根を枕  ニして伏ス目 下ニ阿部川 を見向  尓

ねをまくらにしてふすがんかにあべがわをみむこうに


伊豆の山 \/を望 ミ夫 より山 を下 リて游(ユウ)

いずのやまやまをのぞみそれよりやまをくだりて  ゆう


亭 アリ魚  を售(ウ)る家 ナリ酒 肴 ヲ出して

ていありさかなを  う るいえなりしゅこうをだして


日暮 尓帰 ル

ひぐれにかえる


十  四 日

じゅうよっか


終  日 大 雨 近 所 ノ者 参 ル昼 比 よりして

しゅうじつおおあめきんじょのものまいるひるごろよりして


大 田原 侯 ヘ参 ル三 加番 巨勢ト云 方 客  ナリ

おおたわらこうへまいるさんかばんこせというかたきゃくなり


席 画を認  ム夜 ノ九  ツ時 ニ帰 ル

せきがをしたたむよるのここのつどきにかえる


十  五日 天 氣阿部川 漲  ル河 留(トマ)ル白 川 越

じゅうごにちてんきあべがわみなぎるかわ  とま るしらかわえっ 

(大意)

 そこの主人は書画を好むようだ。その友人の一両さんもやって来た。お二人共に風流。

この日、近くの浅間山に登り、大きな松の根方でゴロンと横になった。眼下に安倍川が見え、その向こうには伊豆の山々が望める。

 下山して、魚を売る店があったので一杯やって日暮れに帰った。

5月14日(西暦6月17日)

 終日大雨。近所の者が使いで来て昼頃大田原侯のもとへ出かけた。

三加番の巨勢という客がいて、席画を認めた。

 殿様も客人もずいぶんと喜ばれたようで、そうすると江漢さんはサービス精神大発揮するタチの人なので、おおはりきりしたようだ。夜遅くまで何枚も描いたのかもしれない。

 江漢さんいたく満足して、夜の9時(午前零時)に帰宅した。

5月15日

 大雨はあがって晴れた。阿部川は荒れ狂っていて渡れない。

(補足)

「主人」、「主」のくずし字がわかりにくい。「丶」+「王」なので、「王」のくずし字「己」になっています。

「雅人」、漢字のみたままの意味。『がじん【雅人】風流な人。風雅を解する人。みやびお』

「枕」のくずし字が読めません。右側の旁の部品が「む」ではないけど、そんな感じ。

「售」、見たこともない漢字。

「日暮」、この日記によく出てきます。「暮」のくずし字は「苦」に似た感じ。

「阿部川」、安倍川。この地図の中央にあります。御城はそのすぐ脇。 


 日記もこのあたりまで読みすすめてくると、江漢さんの字もくずし字にも慣れてきました。

 

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