2024年12月9日月曜日

江漢西遊日記一 その26

P30 東京国立博物館蔵

(読み)

山 前 ニハ藤 川 ノ邊  ヨリ岩 渕 サツタ山 清 見

さんまえにはふじがわのあたりよりいわぶちさったやまきよみ


寺 山 左  ニ沼 津江尻 ノ邊  山連(ツラナ)リて亦 海 の

てらさんひだりにぬまずえじりのあたりやま つらな りてまたうみの


半(ナカハ)尓ハ右 ノ方 より三穂の洲三筋 ニ出て

  なかば にはみぎのほうよりみほのすみすじにでて


下(シタ)の人 家アル一 村 ハ清水(シミツ)のミなとなり家 ハ

  した のじんかあるいっそんは   しみず のみなとなりいえは


千 余軒 泊  舩 数艘(ソウ)婦なかゝ里して漁(キヨ)

せんよけんとまりふねすう そう ふながかりして  ぎょ


舟 ハ木葉(コノハ)能如く誠  尓天 下絶 景 なり

せんは   このは のごくまことにてんかぜっけいなり


昔  雪 舟  支那(カラ)尓渡  圖シ多るハ爰 より見

むかしせっしゅう   から にわたりずしたるはここよりみ


多る景 也 是ヲ 渡唐 の冨士と云 此 下 尓

たるけいなりこれをととうのふじというこのしたに


冨士見橋 と云 橋 あるよし冨士を見る景

ふじみばしというはしあるよしふじをみるけい


天 下第 一 也 此 日夜 ニ入  五時過 ニかえる

てんかだいいちなりこのひよるにはいりごじすぎにかえる

(大意)

りゃく

(補足)

「サツタ山」、さったとうげ ―たうげ 【薩埵峠】静岡県静岡市清水区由比(ゆい)と興津(おきつ)の境にある峠。旧東海道の難所。足利尊氏の軍勢と足利直義の軍勢とで行われた合戦の場として有名。

「渡唐の冨士」、模写した画がこの画像。

 江漢さん、雪舟がここからの眺めを描いたのと同じ場所にたち、感激至極。ずっと同じ場所に立ちすくみ、いつまでも眺めている様子が目にうかびます。

 ちょうど夏至も過ぎたばかりの頃で夜7時すぎても明るかったはず。日暮れ日没の眺めを楽しんだのでしょう。

 天下第一の景色を満喫して帰ったのは日没まもなく夜の8時でした。

 

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