2024年12月24日火曜日

江漢西遊日記一 その41

P46 東京国立博物館蔵

(読み)

廿   一 日 天 氣朝 山 梨 を出  立 せんと春両  家

にじゅういちにちてんきあさやまなしをしゅったつせんとすりょうけ


より餞 別 ニ宝 金 を贈 ル亦 府中  尓来 リて

よりせんべつにほうきんをおくるまたふちゅうにきたりて


長谷玄 庵 を吊  フ太 田原 侯 ヘ傳 言 を頼 ミ

はせげんあんをとぶらうおおたわらこうへでんごんをたのみ


瀬戸川 を越し程 なく阿部川 を渡 ル水 出テ

せとかわをこしほどなくあべかわをわたるみずでて


漲  ル夫 よりう川能山 を越して巻狩(カリ)橋 八

みなぎるそれよりうつのやまをこしてまき かり はしや


幡 橋 を渡 里てよふやく藤 枝 ニ至 リ小西

わたはしをわたりてようやくふじえだにいたりこにし


庄  兵衛方 ニ泊 ル庄  兵衛の曰  此 所  より十  里アリ

しょうべえかたにとまるしょうべえのいわくこのところよりじゅうりあり


遠 州  ニ櫻  ガ池 アリ秋 の彼岸 ニ祭  あり供物

えんしゅうにさくらがいけありあきのひがんにまつりありくもつ


をひつ尓入 水 中  ニ入 ルる尓其 ひつ直 尓沈 ム事

をひつにいれすいちゅうにいれるるにそのひつじきにしずむこと


奇妙  と春庄  兵衛内 ハ甚  タキタナキ事 多々ミ

きみょうとすしょうべえうちははなはだきたなきことたたみ

(大意)

(補足)

「廿一日」、六月廿一日。西暦1788年7月24日。

「宝金」、『方形の金貨。 江戸時代の一分金・二分金・一朱金などをいう』。

「吊フ」、とぶらふ。訪れる。

「う川能山」、『うつのやま 【宇津の山】静岡市駿河区丸子(まりこ)と藤枝市岡部町との境にある山。宇津ノ谷峠がある。「駿河なる―べのうつつにも夢にも人にあはぬなりけり」〈伊勢物語9〉』。教養豊かな江漢さん、在原業平の歌にあったのを思い出し、あぁ、あの歌はここだったのかと・・・

 岡部・丸子宿の間に「宇津谷村」があって、この北西の山がその山のようです。

「藤枝」、下の地図で確かめると、 

藤枝宿の東に本多豊前守居城があり、その南に「瀬戸川」が流れています。安倍川は北東の方向にあって、「瀬戸川を越し程なく阿部川を渡ル」の順番が逆でなければなりませんけど、さて?

「遠州ニ櫻ガ池アリ」、今でも全国から櫃をおさめに沢山の人が来るそうです。

 ともかく、西に向けて出立したようであります。

 

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