2024年12月12日木曜日

江漢西遊日記一 その29

P34 東京国立博物館蔵

(読み)

往 来 能者川゛れ左  ヘ少 シ入 ル処  誠  ニ二町  アリ

おうらいのはず れひだりへすこしはいるところまことににちょうあり


入 口 ニ茶 やあり玄 庵 案 内 ニて何 屋とか

いりぐちにちゃやありげんあんあんないにてなにやとか


云 亭 尓能ほり新 造 を二 人よ婦中  位  の

いうていにのぼりしんぞうをふたりよぶちゅうくらいの


美人 なり酒 肴 出テル硯  蓋 ニタゝミイワシ

びじんなりしゅこういでるすずりぶたにたたみいわし


とて白 春を干(ホシ)多る物 尓醤  油付 焼 多るを

とてしらすを  ほし たるものにしょうゆつけやきたるを


あしらへ其 餘 能喰  品 皆 之 尓順  春゛る

あしらえそのほかのしょくひんみなこれにじゅんず る


なり日も暮れ个連ハ倡  婦能云フチトソコラ

なりひもくれければしょうふのいうちとそこら


ヘ参イロと云 初 會 ニて手をひかれ見世を

へまいろというしょかいにててをひかれみせを


見あるく誠  ニ奇妙  也 二階 能ゑんニランカ

みあるくまことにきみょうなりにかいのえんにらんか


ンあり皆 者き物 を爰 ニ置 なりたゝミキタナシ

んありみなはきものをここにおくなりたたみきたなし

(大意)

(補足)

「案内」、案は「安」+「木」なので、上半分は「あ」。

ここでタタミイワシがでてくるとは。相模湾沿岸でも今でも販売していてわたしの好物。製法は現在と全く同じで食べ方も同じはずです。

「日も暮れ」、「暮」のくずし字が「苦」に似てます。読みが「く」で「苦」と同じなので誤解なきよう。

 遊郭での約束事が江戸とは大きくことなっているので、江漢さんあたふた困ってます。野暮な人間に見られぬよう、気をつけようとしているのが笑えます。

  この二丁町遊廓は多くの錦絵にも描かれています。空襲で焼失したとありました。

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