2024年12月7日土曜日

江漢西遊日記一 その24

P28 東京国立博物館蔵

(読み)

かえる

かえる


廿   五日 曇  て寒 し袷  を用 ユ画ヲ描ク能ミ

にじゅうごにちくもりてさむしあわせをもちゆえをかくのみ


廿   六 日 曇  昼 ヨリ清 水 観 音 と云 処  ヘ参  て

にじゅうろくにちくもりひるよりきよみずかんのんというところへまいりて


門 尓二王 アリ其 作 至   不細 工一 向 ノ田舎 ナリ

もんににおうありそのさくいたってぶさいくいっこうのいなかなり


廿   七 日 曇  大 田原 侯 ヘ参 ル客  在 画をかく

にじゅうしちにちくもりおおたわらこうへまいるきゃくありえをかく


廿   八 日 天 氣九時より玄 庵 と久能山 へ参 る

にじゅうはちにちてんきくじよりげんあんとくのさんへまいる


爰 ヨリ三 里御法 楽 とて参 詣 多 しベントウ

ここよりさんりごほうらくとてさんけいおおしべんとう


酒 菓子茶 器等 を為持 玄 庵 宅 ノ裏

さけかしちゃきとうをもたせげんあんたくのうら


路 ヲ行 て本 通  ヘ出て久能ニ至 ル尓前 は海 也

みちをゆきてほんどおりへでてくのにいたるにまえはうみなり


山 ハ俄(ニワカ)尓高 し石 ダン十  七

やまは  にわか にたかしいしだんじゅうしち


斜(ナナメ)ニ曲(マガリ)石 ノランカン

  ななめ に  まがり いしのらんかん

(大意)

(補足)

「廿五日」、旧暦5月25日、新暦6月28日。

「昼」、昼の漢字は楷書でもくずし字でもなぜか縦長に二文字にも三文字にもみえるように書きます。

「不細工」、「細」のくずし字はどうも苦手。

「一向」、『② 全く。「―平気だ」「口が―に無調法な女であった」〈新世帯•秋声〉』

「法楽」、『② 経を誦したり音楽や芸能・詩歌などを手向けて,神仏を楽しませること』

「為持」、間にレ点が入って「もたせ」。「ゐ」のもとは「為」。

 「ベントウ酒菓子茶器等を為持」てのピクニック、なんとも贅沢であります。燗酒もできるような什器も持ち歩いたそうだから、そういった遊びが文化の一部だったのでしょうね。

 

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