2024年12月11日水曜日

江漢西遊日記一 その28

P32P33 東京国立博物館蔵

(読み)

八部山ヨリ眺望の圖

昔雪舟遊干支那而

所圖冨嶽之景何

乎望無智者余登

於駿陽射矢部補

陀洛山上始観之

 寛政己酉春

 三月三日冩於

 平安客館乃入

天覧


天城山

伊豆

ツル巻山

箱根

サツタ

八部観音山

P33

清見寺山

江尻

清水

(大意)

(補足)

「八部山」とありますが、漢文の中「矢部補陀洛山上」とあるように、駿州矢部の補陀落山(現在の静岡市清水・鉄舟寺)より望んだ景観の図です。

「寛政己酉(つちのととり)」、寛政元年(1789)。

 この旅の素描をもとにしたのかどうかは不明ですけど、同じ構図の絹本油彩に「駿河湾富士遠望図」(1799(寛政11)絹本油彩36.2×100.9cm)があります。 

 素描のときと油絵で仕上げているときの画全体の雰囲気が同じなのがおもしろい。柔らかく暖かで日本の多湿な空気感が感じられます。

 またここからの眺めの写真はネットにたくさんあって、無断でお借りしたこの一枚が江漢のものとほとんど同じ構図になっています。

 昔も今も良い眺めであります。

 

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