2024年10月31日木曜日

時代世話二挺鼓 その16

P11 国立国会図書館蔵

(読み)

と起尓まさ門 文字の者や可き

ときにまさかどもじのはやがき


尓ハ可奈ハせまじと

にはかなわせまじと


七 ツ

ななつ


いろは

いろは


をいちど

をいちど


尓可いて

にかいて


ミせる

みせる


ひでさとそれも可奈ハ

ひでさとそれもかなわ


せじと者や引 せ川

せしとはやびきせつ


やう二て八 ツのもじを

ようにてやっつのもじを


いちど尓ひい天ミせ

いちどにひいてみせ


そのうへ

そのうえ


や可らの

やがらの


可年を

かねを


一 ど尓

いちどに


う川て

うって


ミせる

みせる

(大意)

 さて(今度は)将門、文字の早書きでは勝たせてなるものかと、七ツいろはを一度に書いてみせた。

 秀郷、それも勝たせてなるものかと、早引節用をつかって、八つの文字を一度に引いてみせ、その上、八がらの鉦を一度に打ってみせた。


(補足)

「七ツいろは」、『【七ついろは】

片仮名・平仮名など,七種の字体・書体で書いたいろは歌。近世,手習いの手本とした。「六つで寺入り上げる手本の数々は,―の年弱七つ」〈浄瑠璃・栬狩剣本地〉』。

将門の前にあるのは、「い 以 伊 意 畏 委 異」。

「者や引せ川やう」、早引節用(集)、いろは引きの字典。大衆み向きの実用的な辞書。

 八がら鉦が腰から棒で支えられているように見えてしまいますが、棒ではなく紐で腰に結んであって、腰を左右に勢いよく振り回し、両手の撥で叩く。

 ここの六つの将門の影も(今度は右側の顔)、ひとつの型をハンコのように押したのではなく、みな彫ってます。影のうち、一人だけに筆を持たせている。

 

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