P1 国立国会図書館蔵
(読み)
いもと
いもと
くろとび
くろとび
志きぶ
しきぶ
此 そうし尓
このそうしに
女 の多し
おんなのたし
奈きを
なきを
きの
きの
とく尓
どくに
思 ひ
おもい
よん
よん
どころ
どころ
なく
なく
こゝへ
ここへ
どうぐ
どうぐ
尓
に
つ可
つか
和れ
われ
兄 弟
きょうだい
ゐ尓ん
いにん
きやう
ぎょう
尓て
にて
まくを
まくを
あける
あける
「王多しも
わたしも
いゝ多ひ
いいたい
む多可゛
むだが
ある可゛
あるが
多゛まつて
だ まって
於り
おり
や須
やす
(大意)
妹の黒鳶式部、この草紙に女が登場しないのは気まずいので、やむを得ずこの場面で、芝居の兄妹絵人形のように道具立てをして挿絵にのせ、幕をあけよう。
妹「わたしも言いたい無駄な洒落のひとつもあるのだけど、だまっておりましょう」
(補足)
「いもとくろとび志きぶ」、京伝の妹、この年18歳。
「ゐ尓んきやう」、芝居用語でじっと動かずにいること。
幕開けの読み手のつかみをしなければならない大事な頁ですので、豪華であります。
綴じの部分で見にくいのですが、障子の端があって、その敷居が丁寧に描いたために線が斜めにいっぱいになって見えてます。
外の縁側は竹と板を交互に貼るという手の込んだ仕上げ。
京伝の背後には床の間に使うような飾り柱、竹で編んだように見えるのは窓なのか、掛け軸なのか、ちと不明。
衝立は梅の絵、上部は縦桟を入れておしゃれです。
二人とも、右肩に「傳」「黒」と名前入り。黒鳶式部がとても美しい。京傳が絵師に特別にきれいに描いてくれと厳しい注文をつけたのでありましょう。
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