P26P27 東京都立中央図書館蔵
(読み)
P26
これ\/
これこれ
者やまるまい
はやまるまい
王れ\/ハ
われわれは
しぬ多めの
しぬための
志んち うてハ
しんじゅうだは
奈いこゝへ
ないここへ
とめて可゛
とめてが
でる者づ多゛
でるはずだ
どふま
どうま
ち可゛つ多可
ちが ったか
志らん
しらん
きものハミん奈
きものはみんな
あげましやう
あげましょう
可らいのちハ
からいのちは
於多すけ\/
おたすけおたすけ
P27
此 いご
これいご
こん奈於もい
こんなおもい
つきハ
つきは
せまい可
せまいか
\/
せまいか
もうこれ尓
もうこれに
こりぬ事 ハ
こりぬことは
ごさり
ござり
ません
ません
P26
どふで
どうで
こん奈ことゝ
こんなことと
於もいんし多
おもいんした
(大意)
艶二郎「コレコレ、はやまるでない。我々は死ぬための心中ではない。ここで止めようとする者が出てくるはずなのだ。どうまちがったかわからん。着物はみんなあげましょうから、命はお助け、おたすけ」
泥棒二「これ以後、こんな思い付きはしないか、しないか」
艶二郎「もうこれで、懲りごりでございます」
浮名「どうせこんなこととおもいんした」
(補足)
心中の小道具以外、背景は屋外の風景となって、弦月と稲叢(いなむら)ぐらいが時と季節をあらわすぐらいで、あとは小川の流れやちょっとした下草と木々、そんな心中場所を描くのはそれなりに難しいはず。
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