P3 国立国会図書館蔵
(読み)
こ連ひで
これひで
本うこの
ぼうこの
あい多゛多ひ
あいだ たび
\/きん里
たびきんり
さ満可ら
さまから
於人 可まい川多
おひとがまいった
可るすであ川
がるすであっ
多ハさ多めて
たはさだめて
ゐつゝけであろう
いつづけであろう
松 者や可丁 子や可
まつばやかちょうじやか
玉 や可あふきや可多ゞし
たまやかおうぎやかただし
ぐ川とひ袮川て仲 丁 の
ぐっとひねってなかちょうの
於者奈や可の於ら可゛や川可゛
おばなやかのおらが やつが
ことづけハせ奈ん多可
ことづけはせなんだが
ひで
ひで
さと
さと
とハ
とは
申
もうし
ま須可゛
ますが
さとでハ
さとでは
奈い
ない
於とこさ
おとこさ
(大意)
公郷三「これ秀坊、この間何度か禁裏(天皇)様の使者が参ったが、留守であったのはきっと、居続けであろう。松葉屋か丁子屋か玉屋か扇屋か、あるいはちょっとひねって深川は仲町の尾花屋かの。おれの使いが言付けはしなかったか」
秀郷「秀郷とは申しますが、里であっても田舎臭くはない男でさぁ」
(補足)
「ゐつゝけ」、『いつづけ ゐ―【居続け・〈流連〉 】
② 遊里などで,幾日もの間泊まりつづけて遊ぶこと。
「多ゞし」、『ただし【但し】(接続)〔副詞「ただ」に助詞「し」の付いた語〕
② 前文に対する疑問・推量などの文を導くために使う。もしかしたら。「十月を神無月と云ひて,神事にはばかるべきよしは記したるものなし。…―,当月諸社の祭なき故に,この名あるか」〈徒然草•202〉
④ それとも。あるいは。ただしは。「酒が飲れぬか,せめてひとり成とも出ぬか,―かへれといふ事か」〈浮世草子・好色一代女•5〉』。ここはどちらでも意味は通じます。
「仲丁の於者奈や」、深川仲町、最もはやった岡場所(幕府非公認遊里)。そこの一流茶屋が尾花屋。
「松者や可丁子や可玉や可あふきや」、吉原江戸一丁目の松葉屋半左衛門。江戸二丁目妓楼丁子屋庄蔵。江戸一丁目玉屋山三郎。江戸一丁目扇屋宇右衛門。
玉座の下にいる三人の公卿、くだけた関東弁と吉原や深川に詳しいことから、田沼時代の幕府高官の遊蕩ぶりを読者に連想させる、とありました。
秀郷の右肩に「秀」丸印があります。
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