2024年10月21日月曜日

時代世話二挺鼓 その6

P3 国立国会図書館蔵

(読み)

こ連ひで

これひで


本うこの

ぼうこの


あい多゛多ひ

あいだ たび


\/きん里

たびきんり


さ満可ら

さまから


於人 可まい川多

おひとがまいった


可るすであ川

がるすであっ


多ハさ多めて

たはさだめて


ゐつゝけであろう

いつづけであろう


松 者や可丁  子や可

まつばやかちょうじやか


玉 や可あふきや可多ゞし

たまやかおうぎやかただし


ぐ川とひ袮川て仲 丁  の

ぐっとひねってなかちょうの


於者奈や可の於ら可゛や川可゛

おばなやかのおらが やつが


ことづけハせ奈ん多可

ことづけはせなんだが


ひで

ひで


さと

さと


とハ

とは


もうし


ま須可゛

ますが


さとでハ

さとでは


奈い

ない


於とこさ

おとこさ

(大意)

公郷三「これ秀坊、この間何度か禁裏(天皇)様の使者が参ったが、留守であったのはきっと、居続けであろう。松葉屋か丁子屋か玉屋か扇屋か、あるいはちょっとひねって深川は仲町の尾花屋かの。おれの使いが言付けはしなかったか」

秀郷「秀郷とは申しますが、里であっても田舎臭くはない男でさぁ」

(補足)

「ゐつゝけ」、『いつづけ ゐ―【居続け・〈流連〉 】

② 遊里などで,幾日もの間泊まりつづけて遊ぶこと。

「多ゞし」、『ただし【但し】(接続)〔副詞「ただ」に助詞「し」の付いた語〕

② 前文に対する疑問・推量などの文を導くために使う。もしかしたら。「十月を神無月と云ひて,神事にはばかるべきよしは記したるものなし。…―,当月諸社の祭なき故に,この名あるか」〈徒然草•202〉

④ それとも。あるいは。ただしは。「酒が飲れぬか,せめてひとり成とも出ぬか,―かへれといふ事か」〈浮世草子・好色一代女•5〉』。ここはどちらでも意味は通じます。

「仲丁の於者奈や」、深川仲町、最もはやった岡場所(幕府非公認遊里)。そこの一流茶屋が尾花屋。

「松者や可丁子や可玉や可あふきや」、吉原江戸一丁目の松葉屋半左衛門。江戸二丁目妓楼丁子屋庄蔵。江戸一丁目玉屋山三郎。江戸一丁目扇屋宇右衛門。

 玉座の下にいる三人の公卿、くだけた関東弁と吉原や深川に詳しいことから、田沼時代の幕府高官の遊蕩ぶりを読者に連想させる、とありました。

 秀郷の右肩に「秀」丸印があります。

 

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