中表紙 東京都立図書館蔵
(読み)
附 り
つけた
作 者 山 東 京 傳
さくしゃ さんとうきょうでん
重(おも)起葛籠(つゞら)の化物(者゛けもの)ハ心(こゝろ)の鬼(お尓)
おも き つづら の ば けもの は こころ の おに
慳貪婆(けんとん者゛ゝ)
けんどんば ば
昔(む可し)〃(\/ )
むかし むかし
桃太郎發端話説(もゝ多らう本川多ん者゛奈し)
ももたろうほったんば なし
正直爺(しやうぢきぢゝ)
しょうじきじじ
軽(可ろ)幾葛籠(つゝら)能財宝(さい本う)ハ頭(可うべ)尓やどる
かろ き つづら の ざいほう は こうべ にやどる
并 ニ(中) 板 元 通 油 町 (蔦屋印)徒多や
ならびに ちゅう はんもととおりあぶらちょう つたや
(大意)
重い葛籠を選ぶものは化物出て心に鬼が巣食う 慳貪婆
軽い葛籠を選ぶものは財宝が頭に満ちあふれる 正直爺
(補足)
上部の挿絵、打ち出の小槌をふるい小判ザックザックは正直爺であることは確かですけど、
一緒に喜んでいそうな婆さんは慳貪婆には見えません。やはり正直夫婦のようです。
表題の「昔」の左側、「く」がふたつあるように見えますが、しばし考えました。
左は同じの意味の記号「ゝ」でその振り仮名「\/」と理解しました。
「軽」のくずし字は「軽」の旧字「輕」をくずしていますので、右側の土の上は「一」+「小」のようなかたちになっています。
変体仮名「幾」(き)はあまり出てきませんが、平仮名「き」の元字です。
他にも変体仮名がたくさん使われています。この程度でしたらようやくつかえずに読めるようになってきました。
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