中P1 東京都立図書館蔵
(読み)
くちハ和さ王ひの可ど
くちはわざわいのかど
志多ハ和さ王ひのもと
したはわざわいのもと
すゞめハけんどん者゛ゝ可゛
すずめはけんどんば ばが
ひめのりをせしめ
ひめのりをせしめ
て志多をきられ
てしたをきられ
いまさらめん本゛く
いまさらめんぼ く
奈くと者゛んとすれ
なくとば んとすれ
どのりを志多ゝ可
どのりをしたたか
奈め个るゆへ者年
なめけるゆへはね
も可ら多゛もい多
もからだ もいた
てんしんときて
てんじんときて
もとのふる春へも
もとのふるすへも
可へり可゛多く志奴
かえりが たくしぬ
与り本可奈しと
よりほかなしと
(大意)
諺に「口は禍の門、舌は禍の元」というが、雀は慳貪婆の姫糊をせしめて舌を切られ
いまさら面目なく、飛ぼうとしても糊をたっぷりとなめていたために、
羽もからだも糊がパリッときいて、板でこしらえた天神様のように四角張って飛ぶことができず、
もとの古巣へ変えることも難しい。
死ぬより仕方がないと、
(補足)
「くちハ和さ王ひの可ど志多ハ和さ王ひのもと」、諺。変体仮名「和」(わ)と変体仮名「王」(わ)を使い分けています。発音が微妙に異なったのかもしれません。
「者年」、変体仮名「年」(ね)がここではハート型♡にみえます。くずし字はほとんど「◯に丶」のかたち。
「もとのふる春へも」、最初の「も」が「も」に見えませんが、これも「も」の形。「し」のようにかきはじめて一番下のところで左回りに斜め上に今書いてきたところを横切って上がり、上部付近でこんどは右回りになってそのまま下へ。最後の「も」はみなれた「も」、「し」の最後でそのまま左上に上がって、横棒2本です。
北斎といえば神奈川沖浪裏が有名です。ここの波は沖と浜でかきわけていますが、どの絵師も波を練習するときには同じように学んだようです。
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