中P2 東京都立図書館蔵
中P3
(読み)
「こゝハところも尓しの
ここはところもにしの
うミちくら可゛お起と
うみちくらが おきと
いふ奈れバく連由くとしの
いうなればくれゆくとしの
まめ者゛やし尓やく者らひ
まめば やしにやくばらい
ども可いつ可ミしあくま
どもかいつかみしあくま
けどうをひとまろめ尓
げどうをひとまろめに
P13
奈してふる起つゞら尓おしこめ
なしてふるきつづらにおしこめ
お起奈可へ奈可゛せしをこの者満
おきなかへなが せしをこのはま
尓ふ起つけし可゛つ志王う丸 の
にふきつけしが づしおうまるの
ミづいり可でか王り能者せん
みずいりかでがわりのはせん
可とすゝめどもひ起あげ
かとすずめどもひきあげ
もち可へる奈んの志よせん
もちかえるなんおしょせん
も奈きこと奈連どこれ可゛
もなきことなれどこれが
きやうげんの春し志゛やてや
きょうげんのすじじ ゃてや
(大意)
ここはところも西の海、どこともわからぬ筑羅が沖である。
歳の暮れの豆囃子(豆まき)のとき厄払いが、悪魔や外道をひとまとめにして
古い葛籠(つづら)に押しこめ沖へ流したのが、
この浜に吹き付けられて揚がった。
雀どもは、それらを厨子王丸の水入りか出替わり奉公人が入った葛籠(つづら)
の破船かとおもい、引き揚げ持ち帰った。
あれこれ考えることでもないのだけれど、これが狂言のあらすじ作りというものじゃ。
(補足)
「ちくら可゛お起」、『ちくらがおき 【筑羅が沖】
① 対馬の沖合。朝鮮海峡のあたり。「唐と日本の潮ざかひ,―に陣をとる」〈幸若舞・大臣〉
② →筑羅に同じ。「和漢まぜこぜ―だ」〈洒落本・辰巳婦言〉
③ 中途半端なこと。あいまいなこと。また,その人。「どちら着ずの―」〈浮雲•四迷〉』とありました。
「やく者らひ」、『② 門付(かどづけ)の一。近世,節分や大晦日の夜,市中を回り,戸毎に厄払いの祝言などを唱えて銭を乞うもの。季冬「声よきも頼もし気也―」太祇』とありました。
「ミづいり」、『③歌舞伎の「助六」で、助六が用水桶の中へ身を忍ばせる件くだりをいい、本物の水を用いる。』でしょうか?
「こゝハところも」、「こ」と「と」はにています。ふたつ並んでいるんで比べるのにピッタシ。
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