2023年9月22日金曜日

桃太郎発端話説 その30

中P2 東京都立図書館蔵

中P3

(読み)

「こゝハところも尓しの

 ここはところもにしの


うミちくら可゛お起と

うみちくらが おきと


いふ奈れバく連由くとしの

いうなればくれゆくとしの


まめ者゛やし尓やく者らひ

まめば やしにやくばらい


ども可いつ可ミしあくま

どもかいつかみしあくま


けどうをひとまろめ尓

げどうをひとまろめに

P13

奈してふる起つゞら尓おしこめ

なしてふるきつづらにおしこめ


お起奈可へ奈可゛せしをこの者満

おきなかへなが せしをこのはま


尓ふ起つけし可゛つ志王う丸 の

にふきつけしが づしおうまるの


ミづいり可でか王り能者せん

みずいりかでがわりのはせん


可とすゝめどもひ起あげ

かとすずめどもひきあげ


もち可へる奈んの志よせん

もちかえるなんおしょせん


も奈きこと奈連どこれ可゛

もなきことなれどこれが


きやうげんの春し志゛やてや

きょうげんのすじじ ゃてや

(大意)

 ここはところも西の海、どこともわからぬ筑羅が沖である。

歳の暮れの豆囃子(豆まき)のとき厄払いが、悪魔や外道をひとまとめにして

古い葛籠(つづら)に押しこめ沖へ流したのが、

この浜に吹き付けられて揚がった。

 雀どもは、それらを厨子王丸の水入りか出替わり奉公人が入った葛籠(つづら)

の破船かとおもい、引き揚げ持ち帰った。

 あれこれ考えることでもないのだけれど、これが狂言のあらすじ作りというものじゃ。

(補足)

「ちくら可゛お起」、『ちくらがおき 【筑羅が沖】

① 対馬の沖合。朝鮮海峡のあたり。「唐と日本の潮ざかひ,―に陣をとる」〈幸若舞・大臣〉

②  →筑羅に同じ。「和漢まぜこぜ―だ」〈洒落本・辰巳婦言〉

③ 中途半端なこと。あいまいなこと。また,その人。「どちら着ずの―」〈浮雲•四迷〉』とありました。

「やく者らひ」、『② 門付(かどづけ)の一。近世,節分や大晦日の夜,市中を回り,戸毎に厄払いの祝言などを唱えて銭を乞うもの。季冬「声よきも頼もし気也―」太祇』とありました。

「ミづいり」、『③歌舞伎の「助六」で、助六が用水桶の中へ身を忍ばせる件くだりをいい、本物の水を用いる。』でしょうか?

「こゝハところも」、「こ」と「と」はにています。ふたつ並んでいるんで比べるのにピッタシ。

 

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