中P6P7 東京都立図書館蔵
中P6
(読み)
「志多きり
したきり
すゞめおやどハ
すずめおやどは
どこじや
どこじゃ
ちよつ\/ ち与
ちょっちょっちょ
「志ら起尓するめ
しらきにするめ
ゆいのハむこじや
ゆいのはむこじゃ
「志多ぎ尓
したぎに
すミれ
すみれ
おゑどハ
おえどは
者でじや
はでじゃ
者志゛めお者り
はじ めおわり
奈起ものハ多し可
なきものはたしか
奈らずと可や
ならずとかや
志やうじ起
しょうじき
ふう婦ハ志多
ふうふはした
きりすゞめの由(く)
きりすずめのゆ く
ゑを多づ年尓いて
えをたずねにいで
个る可゛おもふこゝろ能
けるが おもうこころの
まこととゝきて
まこととどきて
すゞめのかくれ
すずめのかくれ
ざと尓多づ年
ざとにたずね
あ多り个れバすゞめ
あたりければすずめ
ども志やうじ起
どもしょうじき
ふうふ可゛大 おんを
ふうふが だいおんを
(大意)
「舌切雀、お宿はどこじゃ。ちょっちょっちょ」
「白木にするめ、結納は婿じゃ」
「下着にすみれ、お江戸は派手じゃ」
はじめ終わりなきものは確かならずというそうだ。
正直夫婦は舌切雀の行方を尋ねに出かけたのだが、
その心の願いが届き、雀の隠れ里を尋ね当てることができた。
雀たちは正直夫婦の大恩を
(補足)
「おやど」「おゑど」「お者り」、変体仮名「於」が平仮名「か」にそっくりです。そして「おもふこゝろ」の左二行となりの「かくれ」の「か」と比べてもやはりそっくり。
「志ら起尓」「志多ぎ尓」は「志多きりすゞめおやどハどこじや」と同じ調子の台詞で言葉遊び、洒落です。結納には白木とスルメを縁起物として添える。すみれは紫色、京の紅に対して江戸名産の江戸紫の下着で江戸は派手好み、とものの本にはありました。
縁側の外、遠くの山間に正直夫婦の、〽お宿はどこじゃと、探し訪ねる小さな姿が見えます。爺さんの右袖には「正」の字がご丁寧に記されています。
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