P9 東京都立図書館蔵
(読み)
志やう志゛起ぢゝ可の春ゞめを
しょうじ きじじかのすずめを
つ連可へり个る可゛いつ多いとりや能
つれかえりけるが いったいとりやの
事 由へさつそく可ご尓いれ
ことゆえさっそくかごにいれ
ゑをあ多へてい多王り个る
えをあたえていたわりける
もとよりさ年可多のいちねん
もとよりさねかたのいちねん
多るすゞめ奈れハ可さ年\/ 能
たるすずめなればかさねがさねの
奈さけを可んじ志やうじ起
なさけをかんじしょうじき
ふうふを志多い个れバ
ふうふをしたいければ
のち\/ハ可ごを
のちのちはかごを
多゛して者奈し可゛い尓
だ してはなしが いに
奈しふう婦こと
なしふうふこと
奈ふ可王ゆ可゛り个り
なうかわゆが りけり
(大意)
正直爺はあの雀を連れ帰りました。
そもそも鳥屋でしたので、早速かごにいれ
餌を与えやさしく飼い始めました。
もともと實方一念の雀でしたから、
深い情けを感じ正直夫婦を慕ってましたので
日を経て籠から出し放し飼いにしていました。
夫婦そろって可愛いがりました。
(補足)
だんだんかすれがひどくなって読みづらくなってきたような気がします。
木版画ですので何刷も刷れば彫りの縁が丸くなったり擦れてきます。1000枚程度で版木は使えなくなり、それ以上の冊数では新たにまた版木を彫っていたそうです。この本がそれほど売れたかどうかは不明ですけど、まぁ読めないこともありません。
「とりや能」、「可さ年\/能」、変体仮名「能」(の)は英語発音記号のaとeが合体したような形「æ」。変体仮名「年」はほぼ◯に「丶」。
「可ご尓いれ」、「尓」の左側に「氵」があるように見えます。ゴミにしては変。
正直夫婦の表情がふたりともそっくりです。このまま現代につれてきてもなんの違和感もないようにおもいます。
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