中P2P3 東京都立図書館蔵
中P3
(読み)
くし可゛い志やとい王れても
くしが いじゃといわれても
あ可がい\/ 多゛いじ奈い志可し
あかがいあかがいだ いじないしかし
者満ぐり尓奈つ多ときけバ
はなぐりになったときけば
志本ふ起の可うべ尓か起
しおふきのこうべにかき
やどると御本うべんでいちど
やどるとごほうべんでいちど
ハあ王びでく多゛さ連う貝
はあわびでくだ されうがい
「まつらさ与ひめハいし尓奈つ多
まつらさよひめはいしになった
可゛王し可むすこハ者満ぐり
が わしがむすこははまぐり
尓奈つ多といの
になったといの
P12
「さつさとござれや
さっさとござれや
おそいぞ\/
おそいぞおそいぞ
「まへごの\/ あゝ
まいごのまいごのああ
すこしお奈可ゞ
すこしおなかが
へこつ起やまの
へこっきやまの
可ん可らす多゛
かんがらすだ
P13
「つゞらハ和可い
つづらはわかい
志由多のミ
しゅたのみ
ますこ連
ますこれ
でハつゞら
ではつづら
すゞめ
すすめ
じや
じゃ
(大意)
たとえ来るのが大変だとしても、全然問題はない。
しかし、息子が蛤になったと聞いたら、
驚かれようぞ。
どんなわけでもよいから、一度は会って下されようのう」
「松浦佐用姫は石になったが、わしの息子は蛤になってしまった」
中P2「さっさと来いや、遅いぞ遅いぞ」
「〽迷子の迷子の、ああちょっと腹がへってきた」
中P3「葛籠は若い者たちに頼みます。これではつづら雀じゃ」
(補足)
親雀の貝尽くしの洒落の連発のつづきも前回と同様、妄想の産物。貝の名に引っ掛けている洒落がわからぬ自分の頭の硬さは貝の殻より堅し。
「く多゛さ連う貝」、「う」の前に「い」があるようにみえますが、変体仮名「連」(れ)の下の部分が「い」のようにみえているだけです。
「まつらさ与ひめ」、「さ」が変体仮名「多」にみえますけど、小さな横棒がありますので「さ」。
「さつさとござれや」、「れ」のかたちがよくわかりません。
「つゞらすゞめ」、ふくらすずめの洒落でしょう。
葛籠がちっとも葛籠に見えませんし、葛籠に描こうとおもったら絵師ならばそれらしく描くはず。きっと北斎はそれらに逆らって、無地の葛籠にしてこの見開きの中で目をひこうとした感じ、棺桶も連想させているとおもいます。
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