P6P7 東京都立図書館蔵
P6
(読み)
「このと起さ年可多の
このときさねかたの
あそんおさ奈起と起おやのおん
あそんおさなきときおやのおん
ふかゝりしを思 ひいでゝ可く奈ん
ふかかりしをおもいてでてかくなん
よミ給 ひ个る
よみたまいける
「奈くと多゛尓おやハくすりの
なくとだ におやはくすりの
きりもくささしも志可り
きりもくささしもしかり
奈春由る思 ひハ此 う多
なすゆるおもいはこのうた
どうけひやく尓んし由尓
どうけひゃくにんしゅに
ミへ多り
みえたり
「おれ可゛奈りハ
おれが なりは
てつ可い
てっかい
仙 人 可゛が起
せんにんが がき
多゛うへおち多
ど うへおちた
といふ志うち多゛
というしうちだ
「アゝラミやこ
ああらみやこ
こいしやナア
こいしやなあ
ドロン\/ \/ \/ \/
どろんどろんどろんどろんどろん
ドロ\/\/\/\/
どろどろどろどろどろ
(大意)
このとき實方朝臣は幼かった頃の親の深い恩を思い出し
このような歌を詠まれました。
「泣くとだに親は薬の切艾(きりもぐさ) さしも叱りなすゆるおもいは」
この歌は今は道化百人一首の中に見える。
「おれの今のこのなりは、鉄拐仙人が餓鬼道へ落ちたような仕打ちだ。
「ああら、都が恋しいなぁ、
どろんどろんどろんどろんどろん
どろどろどろどろどろ
(補足)
百人一首の51番實方の「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」のパロディ、しかし道化百人一首という絵入小冊子歌集は実際に享保年間ころに刊行され、文化元年(1804)の版にはこの歌がそのままのっていると、ものの本にはありました。
「鉄拐仙人」、中国の八仙の一人で医薬の神様といわれる。得意技は「離魂の法」。實方が大きく吹き出しているのは鉄拐仙人が「離魂の法」で見せる技と重ねています。
北斎の若かりし頃の絵です。雀の部分部分の細かい描写は今ひとつという感じですが、雀全体を見ると飛び去っていくさまが勢いを見せます。また實方も同じように見ると全体から力尽き果てた感がかもし出されています。
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