2023年9月9日土曜日

桃太郎発端話説 その17

P6P7 東京都立図書館蔵

P7

(読み)

「おすゞめごさ満もおち

 おすずめごさまもおち


こゞろも奈ふておめで多いせんぎでござる

ごころものうておめでたいせんぎでござる


「おふくらさ満まあ\/

 おふくろさままあまあ


おくのちくゑんで

おくのちくえんで


さゝでも阿可りませ

ささでもあがりませ


多いのミそずを

たいのみそずを


申  つけまし多

もうしつけました


「よいお子やの

 よいおこやの

(大意)

「お雀御様も、お血心(分娩後の出血)もなく

おめでたいはこびでござる。

「おふくら様、まあまあ奥の竹縁で酒(ささ)でも召し上がられませ。

「鯛の味噌吸を申し付けました。

「よいお子やの

(補足)

「おふくらさ満」、ふくらすずめ【脹雀・福良雀】

① 肥え太った雀。また,寒気のために羽をふくらましている雀。と、辞書にはありました。

 広辞苑に『たい‐の‐みそず【鯛の味噌吸】鯛の味噌吸物。下に「四方よものあか」(酒の銘柄)と続けて明和・安永(1764〜1781)頃に盛んに用いた語。鯛の味噌津「めつたにうりたい、はなしたい。―に四方山の、はなしにひれはなけれども」』とあります。

 挿絵がおもしろい。産湯につかる幼子が雀というよりひよこのよう。ここの3人(羽)の手が雀の脚そのままでちょっと不気味です。頭がちょんまげや髷になっていて、あまり見たことがありません。

 屏風の裏には産婦、やはり日本髪を結っています。

  

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