2023年9月3日日曜日

桃太郎発端話説 その11

P4P5東京都立図書館蔵

P4

(読み)

「こう者ら可へりま

 こうはらがへりま


大 こんときてハふと

だいこんときてはふと


印  とい王れても

じるしといわれても


あとへもさ起へも

あとへもさきへも


由くことハ奈らすの

ゆくことなならずの


もりのミそさゞい

もりのみそさざい


とひとりつ本゛

とひとりつぼ


や起お者し

やきおわし


ます

まうs


「こつちの阿げ

 こっちのあげ


さげさへてんや

さげさえてんや


王やときている

わやときている


ものをけちい満

ものをけちいま


\/しいてんと

いましいてんと


多゛いりび奈の

だ いりびなの


た奈ざらしと

たなざらしと


き多ハ

きたは


「こハ奈さけ

 こはなさけ


奈のひ奈

なのひな


ひヤ

ひや

(大意)

「こう腹がへりましては、ずうずうしいといわれても

あとへも先へも進むことはできません、とひとり

つぶやいているのでありまする。

「こっちが食っていくのも大変だっていうのに

まったく内裏雛の売れ残りのようなのがきて飯をくれとは

くそ腹がたつ。

「これは情けのない田舎人じゃ

(補足)

「へりま大根」はもちろん練馬大根。「ふと印」の太いはふてぶてしい、ずうずうしいの意。成らずの森は糺(ただす)の森のひっかけ。みそさざいは雀みたいな鳥ですけど、次のつぼ焼きのサザエにつながる洒落と食べ物づくしの洒落オンパレード。

「こう者ら可」、「う」は「う」の形になってません。文章の意味から判断するしかなさそう。

「ふと印」、「ふと」とはすぐに読めない。「印」のくずし字は左右の部品が上下になった形。

「由くことハ奈らすの」、カスレが多く判読が難しい。

 中将の前の縁台のような長椅子の脚が曲木の枝を使ったものなのか、なかなかこっています。

囲炉裏の鉄瓶も大きくて立派。

 

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