P6P7 東京都立図書館蔵
P6
(読み)
ひとむら志げれる多个やぶ尓
ひとむらしげれるたけやぶに
春ゞめ阿つまり春尓つ起て
すずめあつまりすにつきて
たまごを阿多ゝめいるをミ給 ひ
たまごをあたためいるをみたまい
和連このところ尓てむ奈しく
われこのろころにてむなしく
奈るともいちねん春ゝめと
なるともいちねんすずめと
なりてミやこへの本゛り多゛い
なりてみやこへのぼ りだ い
者゛ん志゛与のいゐをく和んと
ば んじ ょのいいをくわんと
こゝろ尓く和んねんし
こころにか んねんし
可のすゝめの多満ごとさね可多
かのすずめのたまごとさねかた
P7
け うのいちねんと可゛つ多いして
きょうのいちねんとが ったいして
いちハのすゞめとけすこ連
いちわのすずめとけすこれ
さ年可多すゞめと申
さねかたすずめともうす
い王れ奈り
いわれなり
(大意)
ひとところに繁っている竹藪に
雀があつまり巣を作って
卵をあたためているいるのを見つけられました。
「わたしはここで死んだとしても
わたしの一念は雀となって
都へ上り(内裏の)台盤所(台所)の飯を
食ってやろう」と
心に念じました。
あの雀のたまごと實方卿の一念が合体して
一羽の雀と化し、
これがのちに「實方雀」といわれる
もとになった。
(補足)
「このところ」、読み間違いそうなひらがながつづいています。
絵は文章のまま、最後の力をふりしぼり、實方雀となって都へ向かう。
實方の顔はわずかの線でその表情を描いていますが、頬をふくらました感じがなんともうまい。
0 件のコメント:
コメントを投稿