2023年9月6日水曜日

桃太郎発端話説 その14

P6P7 東京都立図書館蔵

P6

(読み)

さてもさね可多个 うハ

さてもさねかたきょうは


志やうぢ起ふうふ可゛

しょうじきふうふが


奈さけのもゝ尓て

なさけのももにて


志者゛し能うへを

しば しのうえを


志の起゛給 ひま多

しのぎ たまいまた


ゆくさ起尓

ゆくさきに


おもむ起

おもむき


給 ひし可゛

たまいしが


この本との

このほどの


つ可れ尓や

つかれにや


御こゝち

おここち


連い奈らず

れいならず


奈らず

ならず


ミちの

みちの


可多和ら尓

かたわらに


やミふし多まひ奈つ可し

やみふしたまいなつかし


きミやこのそらハくもと

きみやこのそらはくもと


のみ奈可゛めやりつれ奈起

のみなが めやりつれなき


いのちを可こちかくミちのく能

いのちをかこちかくみちのくの


つちと奈るとも者奈のミやこの

つちとなるともはなのみやこの


志多ハしく奈ミ多゛尓むせび

したわしくなみだ にむせび


多まひし可゛おりふし可多和らの

たまいしが おりふしかわわらの

(大意)

 さて實方卿は、正直夫婦の情けの桃でしばらくは

飢えをしのいでいらっしゃった。ふたたび行く先に

おもむきはしたものの、これほどの疲れはしたことがなく

道のかたわらに病気となってたおれてしまわれました。

 雲ばかりの空を眺めては、なつかしき都の空はをおもい

おもいどおりにはならぬ命をうらみ、この陸奥(みちのく)の土になっても

花の都はこいしく、涙にむせび泣かれる。折しもかたわらの

(補足)

「給」のくずし字が何度もでてきます。変体仮名「奈」(な)と似ていてまぎらわしい。

「連い奈らず奈らず」、奈らずがだぶってしまいました。

「くもとのみ」、ひらがなの「み」としましたが、なんか形がおかしい。

 

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