中P1 東京都立図書館蔵
(読み)
「さね可多のいちねんけし
さねかたのいちねんけし
多る春ゞめ保とあつて
たるすずめほどあって
ちご可゛ふちのう多をよむ
ちごが ふちのうたをよむ
あ本ものづくし
あほものづくし
「もろこし尓
もろこしに
ゆり能ね可やと
ゆりのねかやと
やまうども
やまうども
む可ごのいも
むかごのいも
で者多゛奈あぶらけ
ではだ なあぶらげ
「いつそ
いっそ
このミを
このみを
すゞめ尓
すずめに
可けて
かけて
そう
そう
じや
じゃ
(大意)
實方の一念で化した雀はしばらくして
稚児ヶ淵の青物づくしの歌を詠みました。
「もろこしに百合の根かやと山独活(やまうど)も
零余子(むかご)のいもではだな油揚」
「いっそ、この身をすずめ(沈め(しずめ))に掛けて、いるようじゃ」
(補足)
「けし多る」、平仮名「け」はあまりでてきません。
「保とあつて」、前回もでてきました、変体仮名「保」(ほ)。
青物づくしの歌はたんに言葉遊びなのか、稚児ヶ淵のを題材にした歌舞伎「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)」のなかの何かを意識しているのか、わかりません。
また「零余子(むかご)のいもではだな油揚」の「はだな」は「はだ」が「非常に、たいそう」という意味がありますから、普通、油揚げは大豆からですけどそれをムカゴで作ったということなのかとでたらめな思いつきがうかびます。
「いつそこのミを〜」は歌舞伎「桜姫東文章」のなかの台詞だとおもいます。
實方雀、浜から沖へむかってドンブラコとまさに飛び込む仕草、足が妙にリアルでちと怖い。着物の姿だけで雀の体幹が表現されていてうまいなぁ。
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