P8 東京都立図書館蔵
(読み)
さ年可多のいちねんすゞめの
さねかたのいちねんすずめの
こと奈りミやこの可多へと
ことなりみやこのかたへと
古ゝろさし个る可゛ま多゛
こころざしけるが まだ
す者゛奈れのこと由へ者可
すば なれのことゆえはか
ば可しくもとびやらず
ばかしくもとびやらず
さとのこども尓とられて
さとのこどもにとられて
奈んぎ尓あい个る折 可ら
なんぎにあいけるおりから
志やうじ起ぢゝ此 ところへ
しょうじきじじこのところへ
き可ゝ里さ年可多のいち
きかかりさねかたのいち
ねんとも志らず春ゝめの
ねんとおしらずすずめの
奈んぎをミ可年こども
なんぎをみかねこども
ら尓あ多いのぜ尓を
らにあたいのぜにを
やりすゝめをこひとりて
やりすずめをこいとりて
和可゛やへ可へり个る
わが やへかえりける
(大意)
實方の一念の雀は子に成長し、
都へ向かって飛び去ったが
まだ巣離れしたばかりのため
うまく飛ぶことができず
里の子どもに捕まって
大変なことになっていました。
ちょうどそのとき、正直爺が
このところに通りかかり
實方の一念の雀とも知らずに
雀がいじめられているのを見かねて
子どもらにそれ相応の銭をやって
雀をくれるよう頼み、かかえて
我が家へ帰りました。
(補足)
何箇所も字がかすれていたりかけていたりするところがありますが前後の流れから予想します。
金太郎のような子どもが左手に雀を握り、右手の石で叩き殺そうとしている場面。
江戸末期から明治初年にやってきたたくさんの外国人が日本子どもたちをみて、その健康状態のよさに驚嘆しています。どんなにひいきめにみても、かれらの国の子どもたちよりも栄養状態はよいし、何よりもとても大切にされていると記されています。
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