中P5 東京都立図書館蔵
(読み)
「奈可満のすゞめも
なかまのすずめも
きのどく尓思 ひ
きのどくにおもい
せんごりをとりて
せんごりをとりて
すゝめのミやをいのりし
すずめのみやをいのりし
ゆへすゞめのせんごり
ゆえすずめのせんごり
志゛つのひとこへといふ
じ つのひとこえという
事 ハこのと起よりぞ
ことはこのときよりぞ
者しまり个る
はじまりける
「さて\/おゝき尓くろう
さてさておおきにくろう
し多ことじやもふ
したことじゃもう
こ連可らハち川とも
これからはちっとも
く王奈のや起者満ぐり
くわなのやきはまぐり
じや
じゃ
(大意)
仲間のすずめたちも気の毒におもい
(無事に出てくるように)千垢離(せんごり)をして
雀の宮を祈願していたので、
「雀の千垢離実の一声」というのは
このときより始まったのである。
「さてさて、大変な苦労をしたものじゃ
もうこれからは、ちょっとでも
桑名の焼蛤にしよう」
(補足)
「すゞめのせんごり志゛つのひとこへ」、諺「雀の千声(せんこえ)鶴の一声」のもじり。
「せんごりをとりて」、ここの「ご」と「と」はよく似ています。
「このと起より」、こちらの「こ」「と」は一画目の違いがはっきりとわかります。
「こ連可らハ」、変体仮名「連」(れ)がずいぶんとくずれています。
「ち川とも」、平仮名「つ」は横に平らになめらかになってしまっていて縦棒三本のなごりはまったくありませんが、カタカナ「ツ」は「川」のかたちそのままです。
「桑名の焼蛤」、「食わない」の洒落。
うちわで扇ぎ送る親雀の仕草やたたずまい、着物の着崩した感じがとても自然でうまいなぁとおもいます。
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