P4P5東京都立図書館蔵
P5
(読み)P4
志やうじきの
しょうじきの
ふう婦ハこの
ふうふはこの
ていをミて御い多王しく
ていをみておいたわしく
おもひさ年可多を和可゛
おもいさねかたをわが
や尓とも奈ひいろ\/い多
やにともないいろいろいた
P5
和り申 ぞやさしき
わりもうしぞやさしき
「奈んぞあげましとうハ
なんぞあげましとうは
ござりますれどあつまの
ござりますれどあずまの
者ての山 可ときて
はてのさんがときて
おりますれバひ起のや
おりますればひきのや
のどらや起さつま
のどらやきさつま
いもよもの多き
いもよおのたき
春いといふ者゛し与
すいというば しょ
も奈しのきり
もなしのきり
くちといふせん
くちとうせんさ
さくさ
さくさ
(大意)
正直夫婦はこの有様を見て気の毒におもい
實方を我が家に招き、いろいろやさしくもてなしました。
やさしい夫婦でありました。
「なにか召し上がって頂きたいのでございますが
東国のはての山奥の家でござりますれば、
ひきの屋のどらやき・さつまいも、天下の銘酒滝水も
ないという次第なのであります。(あなたのお口にあうようなものは
なにもございません)
(補足)
前頁もこの頁でも言葉遊びが多数出てきます。当時のこれらをまとめて流行語とくくるようですが、これらについては「近世文芸『草双紙における流行語の位置 松原哲子』」にくわしい。
「おもひさ年可多を和可゛や尓とも奈ひ」、「おも」も「とも」も読みづらい。
「よもの」、「四方の」を調べると『天下。諸国。「―に号令する」』とありました。
「せんさく」、『 事の次第。「美濃吊しなど引かれては元が息(こ)になる―」〈浄瑠璃・心中二つ腹帯〉 』とありました。
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