中P2 東京都立図書館蔵
(読み)
やけのゝきゞす与る能つる
やけののきぎすよるのつる
こを思 ふ道 ハひと
こをおもうみちはひと
すじ尓て志多きり
すじにてしたきり
すゞめのおやどりハ
すずめもおやどりは
こすゞめ能ミへ奴ゆへ
こすずめのみえぬゆへ
者年の多よりも
はねのたよりも
き可ま本しく奈可
きかまほしくなか
まの春ゞめを多の
まのすずめをたの
ミたつ年尓いつる
みたずねにいずる
ぞやさし个連
ぞやさしけれ
(大意)
「焼野の雉子(きぎす)夜の鶴」と、親の子を思う情は非常に深く
舌切雀の親鳥は子雀の姿が見えないので、
羽の便りも聞き逃さずあつめ、
仲間の雀を頼み、
尋ねに出かけました。
優しい親雀でありました。
(補足)
「まほし」、『(助動)活用まほしから • まほしく • (まほしかり) • まほし • まほしき • (まほしかる) • まほしけれ • ○〔「まくほし」の転〕
希望の助動詞。動詞およびこれと同じ活用型の助動詞の未然形に接続する。
① その動作をすることをみずから希望する意を表す。…したい。
㋐ 話し手の希望を表す。「世の中に多かる人をだに,すこしもかたちよしと聞きては,見まほしうする人どもなりければ」〈竹取物語〉「いくばくならぬこの世の間は,さばかり心ゆく有様にてこそ過ぐさまほしけれ」〈源氏物語•若菜上〉
㋑ 話し手以外の者の希望を表す。「もしまことに聞こし召しはてまほしくは,駄一疋を賜はせよ」〈大鏡•昔物語〉』とありました。
「道」のくずし字は特徴的。そうしてこんな形になったのだろうなどとは考えずにそのまま覚えるべし。
半ケツの雀の動きがなんか妙です。このあとすぐに事情がわかります。
「焼野の雉子(きぎす)夜の鶴」の諺、言い回しはP2の(その7)20230830のところにも出てきました。京伝なにか気になるところがあったのでしょうか。
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