2022年4月22日金曜日

塩賣文太物語上 その29

P19 国立国会図書館蔵

(読み)

王れう多

われうた


まくらの

まくらの


ためひ多ちへ

ためひたちへ


下 り奈んじ可゛

くだりなんじが


む春め尓

むすめに


奈れそめ

なれそめ


ふさいの

ふさいの


可多らいを

かたらいを


奈すひさしや

なすひさしや


文 太よ

ぶんたよ


正  じきそう奈

しょうじきそうな


ふうふ可奈

ふうふかな


(大意)

わたしは歌枕の地を訪ねたく

常陸国へ下り、あなたがたの

娘に恋してしまい、結婚を

約束したのだ。

しばらくぶりであったのう

文太よ。


正直そうな

夫婦だ


(補足)

「まくらの」、「く」がつぶれて「つ」のようにみえます。ここの「ら」は変体仮名「可」や「う」と似た形。楷書の「ら」は6行あとにでてきます。

「ふさいの可多らい」、「可多らい」を調べると「② 男女の契り。情交。「浅はかなる―にだに」〈源氏物語•松風〉」とありました。

最後の頁のためか、他の頁より描きこんでいるような気がします。

 

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