2022年4月7日木曜日

塩賣文太物語上 その14

P8 国立国会図書館蔵

(読み)

をし鳥 よろこびとんでゆく

おしどりよろこびとんでゆく


小志本身のくるしミ尓

こしおみのくるしみに


おもいくらべをし鳥もさぞ

おもいくらべおしどりさぞ


つまこいし可らんとふびんさ

つまこいしからんとふびんさ


いやまし可こゟ

いやましかごより


出し者奈しやる

だしはなしやる


「小」

助 八 さんハどふして????じや

すけはちさんはどうして


も者や内 尓ハいられまい

もはやうちにはいられまい


(大意)

おし鳥はよろこんで飛んでゆきました。

小しおは自分と一羽だけのおしどりの身の苦しさをおもいくらべました。

おしどりはさぞ妻が恋しいのだろうとおもうとその不憫さがいっそうまして

カゴより出して逃してやりました。

助八さんは今頃どうしていることでしょうか。

(わたしはおしどりを逃してしまったので)もはや家にはいることはできないでしょうに。


(補足)

「おもいくらべ」、最初「くしべ」と読んでしまい、何のことだろうと悩みました。

「ゟ」は合字「より」。

「どふし????じや」、「じや」のうえ二文字は「い事」のように見えます。意味はわかるので不明な部分を埋める言葉はと推理するのですが・・・

 他の頁の籠もそうでしたが、籠の網そのものは丁寧に描かれていて、透けて見えるその向こうまで描かれていれば完璧でしたけど絵本ではそこまで凝ったことはしてなさそうです。

小しおの着物の裾が地面にするくらいに描かれています。その後ろには縄のれん。

 

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