2022年4月20日水曜日

塩賣文太物語上 その27

P17後半 国立国会図書館蔵

(読み)

可ごの

かごの


内 尓て

うちにて


めん鳥 を志多う事 年

めんどりをしたうこととし


久 し故 むすめの奈さけ尓

ひさしゆえむすめのなさけに


よつていのちた春けられ

よっていのちたすけられ


そのへんれいとして人 ゝ を

そのへんれいとしてひとびとを


今 又 た春け申 し也 とたちまち

いままたたすけもうしなりとたちまち


さむらいつ可いのをしと(り)

さむらいつがいのおしどり


奈り者うちしてとび

なりはうちしてとび


さり个り

さりけり


(大意)

カゴの中で妻をおもうこと

年久しく過ごしておりました。

小しおの情けにより命を助けられ

その返礼としてご夫婦を助けたのです」

話し終わるとたちまち

侍はいつかのおし鳥となって

羽ばたき飛び去ってゆきました。


(補足)

一見、すべて読めているようですがわからないところは前後の話の流れでフィクションで補いました。

「年久し故」、「m」に見える字を「故」としましたが、そうでなかったらなんでしょうか。

「よつて」、「よ」は変体仮名「与」(よ)かもしれません。

「申し也」、「申」はあってるとおもいます。「申也」かもしれません。ここまで平仮名「た」が三回出てきています。

「をしと奈り」、「り」を忘れたのではなく、「鳥」を省略したと理解したほうがよさそうです。

「者うちして」、「羽打ち」という熟語をしらないと、悩む箇所です。

 鳥はほとんどがそうですが、雄は色彩豊かで派手、雌は地味です。なので右が捕らわれていた雄のはず。

 

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