2022年4月13日水曜日

塩賣文太物語上 その20

P12前半 国立国会図書館蔵

(読み)

「大」

きつくいましめよ

きつくいましめよ


大 ぐうじ

だいぐうじ


心  を可けし小志本ハ

こころをかけしこしおは


可けをちさする

かけおちさする


そのうへひそう

そのうえひそう


してあづけをく

してあずけおく


をし鳥 ハ尓可゛す

おしどりはにが す


一 可多奈らずい起

ひとかたならずいき


とをり者らたちて

どおりはらたちて


(大意)

きつくしめあげろ。

大宮司は我がものとしようとした小しおが

駆け落ちをするは、

そのうえ、秘かに飼ってあずけておいた

おし鳥を逃がすは

大いに憤慨し、腹をたてました。


(補足)

 書き手も彫師も摺師も上手とみえて、読みやすい。

「きつく」、「く」は「と」にも「こ」にもみえます。「く」の上に点がありこれは平仮名ではなく変体仮名「久」(く)でしょうか。

「可けし」、「け」の中央に「し」の先端が入っています。

「い起とをり」、「ど」と読めばすぐにわかりました。

この絵師は手や足を小さく描くのが好みのようです。

大宮司の蜘蛛の巣のような柄や家来のラーメンどんぶりの縁の模様のような柄もおもしろい。

 

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