P2前半 国立国会図書館蔵
(読み)
む可し\/ せ うじき奈る志゛ゝい可゛
むかしむかししょうじきなるじ じいが
阿つ多とさひとりのむ春め
あったとさひとりのむすめ
春ゞめを可いおき阿さ由ふ
すずめをかいおきあさゆう
ゑをあ多へいつし可者奈し
えをあたえいつしかはなし
可゛いと奈し个るこの春ゞめ
が いとなしけるこのすずめ
ハおや春ゞめ春多゛ち
はおやすずめすだ ち
をつれてこのちゞいの
をつれてこのじじいの
尓ハ尓き多りし可゛
にわにきたりしが
(大意)
むかしむかし、正直なじじいが
あったとさ。じじいのひとり娘が
すずめを飼っていて、朝夕に
餌を与えていました。いつしか
放し飼いにするほどなれていました。
このすずめは、巣立ちのときに親雀に
連れられてこのじじいの庭に
来たのですが、
(補足)
豆本にしては文章が多いためか字の大きさが小さく
また保存の状態もいまひとつだったのか読みづらいです。
「せうじき」、「せ」が「セ」にもみえますが、平仮名だとおもいます。
「阿つ多」、「阿」のくずし字が √記号+小さな「の」のようになってます。
「可いおき」、変体仮名「可」(か)と「う」はそっくりです。
「可゛いと奈し个る」、変体仮名「个」(け)は円周率「π」ににています。「る」は変体仮名「留」(る)。
煙管を手にニコニコ顔の正直爺さん、膝のところには煙管の一式があり、左側の火鉢で吸い終わったタバコをカッカッとたたいて落とすのでしょう(灰落し)。画面右下にあるのは「おもと」でしょうか。江戸時代後期に流行りました。その隣りにあるのは水鉢。爺さんのちょっと体をひねった姿に動きを感じます。文章の字はうまいとはいえませんが、画はどれも丁寧で上手です。
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